【CJC=東京】ミャンマー国営テレビは5月11日、同国を2日から3日にかけて襲ったサイクロン「ナルギス」による死者は2万8458人、行方不明者は3万3416人と報じた。
国連食糧計画(WFP)などと共に世界中のキリスト教救援団体は、援助準備を開始したが、軍事政権が8日に空輸された国連援助物資7トンを押収したと伝えられ、国連は9日物資救援を中止した。
軍事政権は、外国からの援助は受け入れるが、活動家の入国は認めずビザを発給しないという。これには西側諸国だけでなく、影響力のある中国も受け入れを促している。
タイを拠点とするアジア・キリスト教協議会は9日、スタッフ・チームをミャンマーに送る計画を明らかにしたが、「ミャンマー大使館が閉鎖されたため、ビザがなかなか出なかった」と言う。
6日、世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事は、ミャンマー教会協議会に「この自然災害がもたらした壊滅的な衝撃を克服するために出来ることは何でもする用意がある。そしてミャンマーの犠牲者の受難を軽減するために貢献する準備がある」と書き送った。
コビア総幹事は、WCCが支援する人道援助組織『アクション・バイ・チャーチズ・トゥゲザー』(ACT)が被災地域の人たちに可能な人道援助を行う手はずは整ったとして、「ミャンマー政府が、国際援助活動家や人道援助団体に、援助が有効に行えるよう被災地への通行など必要な支援を提供することを願う」と語った。
ヤンゴンに駐在しているACTメンバーが報じるところでは、水と電力の供給がなくなり、食糧とシェルターの需要が急増、必需品の価格が急騰している。
カトリック教会の援助・福祉活動を担当する国際カリタス会長のオスカル・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿は「世界規模の私たちのネットワークは、ビルマの人たちに出来ることは何でもする。孤立しているのではないということを伝えたい」と言う。まずニュージーランドの『カリタス・アオテアロア』が募金を開始した。
ルーテル世界連盟のチャンドラン・ポール・マーティン総幹事代行も、ミャンマー当局に、人道的援助活動家の入国と国内移動を容易にするよう求めた。それによって大規模災害にも備えが出来ると言う。
国連児童基金(ユニセフ)は8日、ミャンマーのサイクロンで被害を受けた子供たちへの緊急支援資金として820万ドル(約8億5000万円)の拠出を国際社会に要請した。またヤンゴンとイラワジ地方に緊急調査チームを派遣、ワールド・ビジョンや『セイブ・ザ・チルドレン』などのNGO組織と協力して活動を進めている。
スコットランド教会(長老派)世界宣教評議会のコリン・レンウイック担当は、地域共同体に援助を呼び掛けている。「聞きしに優る状況だ。これほどの規模の災害の実態を把握することは難しい。救援が出来るのなら皆が応じるべき時だ」と言う。
バプテスト世界連盟は、オーストラリア、ハンガリー、米国などの加盟教会のメンバーが隣国タイのバンコクで、ミャンマー入国のビザ発給を待っている、と語った。