ウェールズ聖公会のセントアサフ主教グレゴリー・キャメロンが、英王立造幣局初の公式クリスマス記念硬貨をデザインした。
傑出した芸術家であり、硬貨収集家でもあるキャメロン主教は、東方教会に関する聖公会の優れた専門家の1人でもある。
クリスマス記念硬貨には、黄金、乳香、没薬(もつやく)の贈り物を抱えた東方の3賢者が描かれている。キャメロン主教は既に、硬貨の研究と収集をする「貨幣学」という難解な分野で世界的に名を知られている。
英王立造幣局主催の競技会で優勝したキャメロン主教は今年初め、「円形硬貨」として最後の発行となる1ポンド硬貨の裏面のデザインも手掛けている。
キャメロン主教は昨年、レバノンの首都ベイルートで行われた特別な儀式において、カンタベリー主教ジャスティン・ウェルビーの代理を務めたが、そこではアルメニア使徒教会のキリキアのカトリコス(総主教)アラム1世が聖油(没薬)の祝福を行っていた。
キャメロン主教は紋章学とその技術に関心があり、子どもの頃、紋章のデザインや硬貨の収集を始めた。
その情熱について語るキャメロン主教のブログには、「私の収集した中で最高の硬貨の1つは、アレクサンダー大王のテトラドラクマ銅貨です。この銅貨が、2500年前に鋳造されたと思うと、驚かないわけにはいきません」と書かれている。
クリスマス記念硬貨に関して、キャメロン主教は、「クリスマスはキリスト教に由来するものではありますが、同時に全ての人々のお祭りです。家族が共に集う幸せを祝うとともに、全ての人々の幸せを願う時なのです」と語った。
「今回の記念硬貨のデザインは、私が子どもの頃に好きだったものが実を結んだものです。記念硬貨のデザインに、東方の3賢者を選んだのは、それが単に『キリスト降誕シーン』だからということではなく、賢者たちが長旅の末、無事にキリスト降誕の場に到着した物語が、子どもの頃からずっと好きだったからです」
クリスマス記念硬貨は20ポンド銀貨で、幸運を呼ぶためにクリスマス・プディングの中に6ペンス銀貨を混ぜこむというような、数世紀前にさかのぼる伝統的な祝祭行事にちなんだものである。
かつて聖ニコラスが自ら貧しい人々の家の煙突を降りて、その家の娘たちの靴下の中に銀貨を入れたという伝説がある。それで、クリスマスイブに子どもたちが、翌朝銀貨を見つけられることを期待して、暖炉の上に靴下をつるすという習慣が始まった。
英王立造幣局はこの記念硬貨を、2016年に起きた幸いな出来事と2017年に向けての願い事を記入するスペースの付いた、特別なデザインのブックレットに入れて、限定3万枚発行する予定。
ウェールズ北東部のキャメロン主教のセントアサフ教区からそう遠くない、ウェールズ南部ラントリサントにある英王立造幣局本部には今年5月、「ロイヤルミント・エクスペリアンス」という新しいビジター・センターがオープンしている。