以下は、カトリック教会の国際カリタスとルーテル世界連盟(LWF)世界奉仕部が10月31日、スウェーデンで行われた宗教改革共同記念行事で署名し、発表した「決意宣言」の英語原文を、本紙が非公式に日本語訳したものである。
◇
「希望のうちに共に」
国際カリタスとルーテル世界連盟世界奉仕部の決意宣言
1. 前文
国際カリタスは、1951年に創立されたもので、カトリック教会の社会および正義部門となっている。それは同時に200カ国・地域にある165の全国組織の連合体でもあり、バチカンの中心的な存在の1つである。貧しい人たちに奉仕をし、寄り添い、そして守ること。その使命は、教会の社会教説や他の教えに基づいて、愛の文明を推進することであり、それは5つの中心的な計画的方向付けをめぐって展開されている。すなわち、教会の中心にあるカリタス(神の無償の愛)、命を救い共同体を再建すること、持続可能で全体的な人間開発を推進すること、地球規模の連帯を築くこと、カリタスの連合体をより効果的にすることである。
その最初の方向付けにおいて、1つの目的は、協力関係とエキュメニカルおよび宗教間の協力の文化に貢献し、それを推進することである。
LWFは1947年の創立以来、ディアコニア(仕え)と奉仕に携わってきた。LWFのディアコニア部門である世界奉仕部は、とりわけ人道支援や開発援助および提言活動における難民や国内避難民のニーズに焦点を当てている。権利に基づくアプローチを通じて、地域住民に力を与え、能力を与えることを目的に、より幅広い広がりとより幅広い影響力のために、LWFは他のキリスト教世界共同体や信仰に基づく組織(FBOs)と共に活動する責務を負っている。
国際カリタスとLWF世界奉仕部は、過去数十年間、多くの国々や地域で、貧困や人道危機の根本原因に取り組もうと、幾つかの機会に活動を共にしてきた。カリタスの会員組織もまたLWF世界奉仕部と協力してきた。
宗教改革500年の記念という機会にあって、LWFとカトリック教会は、一致の探求に対する自らの責務を表明し強めるために、和解に向けたさらなる歩みを進め、共同の奉仕という分野で前へ進んだ。これはルーテルとカトリックの研究文書『争いから交わりへ』に表されており、その中で5つのエキュメニカルな責務が共同の奉仕活動を呼び掛けている。
それには、こう述べられている。「カトリック教会とルーテル教会は、世に対する宣教と奉仕の中で、神の憐(あわ)れみを共に証ししなければならない」。第243項にはこう書かれている。「教会の一致のためのエキュメニカルな取り組みは、教会だけに奉仕するのではなく、世が信じるようになるために世にも奉仕する」
国際社会もまた、とりわけFBOsに対し、持続可能な開発目標の課題を実現することに積極的に関与し、1世代で極端な貧困を撲滅することに向けて活動するよう呼び掛けている。カトリックの世界では、集合的な関与のさまざまな空間があり(その中にはカトリック組織フォーラムがある)、そしてより幅広いキリスト教世界では、ACTアライアンスがあって、その中にLWFは加盟しており、それと共に国際カリタスは長年にわたって連携している。
信仰共同体とそれらが関与している組織には、あらゆる次元において極端な貧困と闘うために固有の立場があると私たちは信じている。これらの共同体が世界中に存在しているからというだけではなく、訓練を受け、組織化されて寄り添われるとき、彼らは災害に対する最も優れた対応者たちであり、全体的で持続可能な人間開発の最も優れた推進者たちであり、彼らの生活のための最も優れた提言者たちでもあるからだ。私たちに生命を吹き込むのは信仰であり、そして、世俗化された世界において、これはとてつもなく大きな違いをもたらす。勇気、責務、忍耐、危険を冒すこと、悪に立ち向かい生活を建て直すために神が私たちと共におられるという信仰である。
人間の尊厳と社会正義のために活動している2つの地球規模のキリスト教組織として、私たちは手を携えることに決める。希望をもたらすことに。排他的になることなく、共に証しをして行動することに。そして私たちの会員に対し、自らの相方や友人たちに地域で関与するよう求めることに。
2. 目的
この決意宣言の総体的な目的は、私たちの組織がどのようにして今日の世界の中で共に活動できるのかについての共通の価値と展望に基づき、私たちが奉仕し寄り添い守る人々にとって、有益な互いに激励するような関係を統合し発展させることである。
国際カリタスとLWF世界奉仕部は、自らの関係や共同の活動を全ての次元において拡大し深めることを求める。私たちは、
- 機会を求める。
- 適切なところで協力する責務を負う。
- 定期的な方策に関する議論に関与する。
- 学びや課題、そして機会を分かち合う。
- 会員やスタッフ、ボランティアにこの決意宣言を確実に理解してもらう。そして、調和と協力のうちに活動を共にすることを期待する。
3. 協力のための分野
LWF世界奉仕部と国際カリタスは、グローバルな次元で次の分野において活動を共にする。
- 難民、国内避難民および移民
- 平和構築と和解
- 人道的な備えと対応
- 持続可能な開発目標の実施
- 宗教間の行動と計画
4. 具体的な応用のメカニズム
国際カリタスとLWF世界奉仕部は、
- 特定の専門家を交えて、合意した諸問題に関する定期的な方策に関する議論に関与する。
- 可能なところで共通のプログラムに関与する。
- 能力構築、宗教間の行動、地域の市民社会の強化を含む、上述した分野および地域的に定められたより多くの分野で、適用可能な場合には援助国にあるそれぞれの加盟団体と協議しつつ、国・教区・地域レベルで共同の企画に協力し関与するよう、私たちの会員を招く。
- 行われた活動を評価するために年に一度会合を行い、その後の計画をする。
- 私たちが達成したことを伝える。
2016年10月31日、スウェーデン・ルンドで行われた宗教改革共同エキュメニカル記念に際して署名
国際カリタス
ミシェル・ロイ事務総長
LWF世界奉仕部
マリア・インモネン部長