松蔭女子学院(神戸市)は1日、兵庫県立美術館と相互の事業を通じた交流を図ることを目的としたキャンパスパートナーの協定を締結した。締結式は兵庫県立美術館で行われ、神戸松蔭女子学院大学の待田昌二学長と兵庫県立美術館の蓑豊(みの・ゆたか)館長が協定書に調印、今後の相互交流を約束した。
同学院は、兵庫県立美術館がコレクションする日本を代表する洋画家の1人、小磯良平(1903~88)とゆかりを持つ。小磯は、松蔭高等女学校の美術部を指導し、同校の制服を参考にして、有名な「斉唱」(兵庫県立美術館所蔵)を描いたといわれる。今回の協定に当たっても、今春開催された兵庫県立美術館の特別展「1945年±5年」で「斉唱」が展示される中、関連イベントで松蔭中学・高等学校コーラス部によるコンサートが開催されたことが締結のきっかけとなった。
10月1日から松蔭女子学院の生徒・学生・教職員は身分証明証を提示すれば、常設展は無料、特別展は団体料金で入場可能となる。同大は、「学生たちが気軽に美術館を訪れ、芸術に対する理解や感性を養う機会がさらに充実した」としている。
松蔭女子学院は、日本聖公会系のキリスト教主義学校。小磯良平が、松蔭高等女学校美術部の指導に当たったのは1930年ごろで、1925年に制服が制定された。現在でも松蔭中学・高等学校では6月から夏服、10月から「斉唱」で描かれている冬服を着用している。また「斉唱」は、三浦綾子の著書『銃口』(小学館版)のカバー装画にも使われた。