【CJC=東京】ブラジル・カトリック教会のアデリール・アントニオ・デ・カルリ神父(42)が、ヘリウムガスを詰めた風船による飛行の世界記録を目指して4月20日飛び立ったまま行方不明になった。
神父は、主にトラックの運転手がゴスペルを聴ける休憩所を建設する資金集めのため、ヘリウムガスで膨らませた色とりどりの1000個の風船を取り付けた椅子に座り、ブラジル南部サンタカタリーナ州の港町パラナグアから、20時間の飛行時間を目標に、約750キロ離れた町ドラードスに向かう予定だったが、予想外の風により飛行コースから外れてしまったと見られる。
救助関係者らは22日、海沿いの町の消防当局者が海岸線で何個かの風船を発見したと述べている。
神父はGPSと衛星電話を持ち、ヘルメットと防寒着、救命胴衣を装着し、5日分の飲料水や食料を持っていた。しかし、かつて神父にパラグライダーを指導したというインストラクター、マルシオ・アンドレ・リヒトナウさんによると、神父は「向こう見ずで頑固、周囲を心配させるような人物で、いつもあわてていた。こんなことが起こっても驚かない」と言う。風船飛行の記録挑戦については、出発の数日前に電話で話を聞いた。その際、リヒトナウさんは、「風で南アフリカまで飛ばされてしまう」と忠告したが、神父は「注意深く計算したから大丈夫」と答えた。リヒトナウさんはこれを「まったくの冗談」と思っていた。
ブラジル空軍当局は25日までに、捜索を中止したと発表した。発見の望みが薄くなったためとしている。