清泉女子大学(東京都品川区)は、東京都指定有形無形文化財に指定される本館(旧島津公爵邸)の見学ツアーを前期(4~6月)と後期(10~12月)に開催している。一般の人を対象とした見学ツアーで、後期分の参加申し込みが5日から始まった。受付期間は9月10日(土)までで、先着順での受付となっている。
この見学ツアーは、大学のシンボルとして学生たちに愛されている旧島津公爵邸を、学生ガイドが40分かけて案内するもの。また、庭園も自由に散策することができる。見学日は10~12月の各月4回の水曜と金曜で、ツアーは1日2回行われる。1回の定員は15人となっている。
旧島津公爵邸は、日本政府の招きにより来日し、工部大学校(現・東京大学工学部建築学科)の教授だったイギリス人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)が設計し、洋画家黒田清輝(1866~1924)の指揮の下、館内の設備や調度が整えられ、1917年に落成した。
新築披露には、皇室や政府の高官など約2千人が招待され、盛大な園遊会が開催されている。その後、邸宅は、昭和大恐慌のあおりを受け、日本銀行に売却されるなどの紆余(うよ)曲折を経て、1961年に同大が日本銀行から土地と建物を購入。62年に神奈川県横須賀から大学を現在の場所に移転し、今日に至っている。
れんが造り、地上2階地下1階建、建坪約280坪の大邸宅は、古典主義にのっとったイタリア・ルネッサンス様式がとられている。建物全体はT字型で、1階はほぼパブリック・スペース、2階が家族のプライベート・スペースとして使われていた。華麗でありながらも、関東大震災にも揺るぐことのなかった堅牢な建築で、内装も階段の手すりや暖炉の彫刻、天井のしっくい装飾やステンドグラスは、ほぼ当時のままの姿で残され、奇跡的ともいえる。
同大は、本物の文化に触れる環境を学生たちに提供したいと、この文化財を単に残すだけでなく、今も教室や会議室、教員研究室として使用している。
見学ツアーの日程や、申し込み方法は、同大ホームページで見ることができる。問い合わせは、清泉女子大学学長室本館見学係(電話:03・3447・5551、FAX:03・5421・3274、受付時間は平日午前9時~午後5時)まで。