ソロモン王朝前後のものとみられる、古代の宮殿式建築物の遺構がイスラエルで発掘された。発掘されたのは、紀元前10世紀ごろの建築物で、エルサレムの西北西約30キロに位置するテル・ゲゼル遺跡で見つかった。イスラエルのハアレツ紙は「極めて重要な建築物」と報じており、その地域の歴史を記述している旧約聖書の記述の信頼性をより確かなものとする。
「旧約聖書によれば、この街(ゲゼル)は、ダビデ時代のペリシテ人と関係しています。ダビデ王が『ゲバ(ギブオン)からゲゼルに至るまで』ペリシテ人を討ち滅ぼしたからです(2サムエル5:25、1歴代誌14:16)」と、同紙は伝えている。
「この発掘により、ペリシテ人との関連も立証されました。考古学者らが、ペリシテ人のツートンカラーの陶器が含まれる地層を発掘したからです。また考古学者らは、『アシュドッド土偶』と呼ばれる物語が描かれた土偶の破片も発見しました。(中略)このような土偶は、アシュドッドやティムナ、エクロン、アシュケロンなど、ペリシテ人が関連する他の遺跡でも見つかっています」
同紙によれば、テル・ゲゼル遺跡では、現代の宮殿式建築物と同じように、大きな中庭が特徴の遺構が発見された。これと同様の建築物は、ハツォルやメギドを含むレバント地方南部でも発見されている。
発掘作業は、米南西バプテスト神学校の研究者らも部分参加して行われた。同神学校は過去数年間、毎夏、テル・ゲゼル遺跡に考古学者らを派遣している。
「今回の合同発掘調査は、南西バプテスト神学校とイスラエル考古学庁によって行われています。スティーブ・オルーティズ氏とサム・ウルフ氏が、幾つかの研究機関の協力の下、発掘作業を共同監督しています」と、同神学校のテル・ゲゼル遺跡発掘プロジェクトのウエブサイトは伝えている。
「当プロジェクトの目的は、公開されている新しい発掘の調査結果を再確認することです。特に鉄器時代の古代ゲゼルの調査に力点が置かれています。発掘作業は、西側の丘の南東斜面を中心に行われる予定で、その斜面における前回の発掘では、この鉄器時代の都市に幾つか占領されていた時期があったことが明らかになっています」
イスラエルにおける考古学的発見が、聖書の記述の信頼性を証明する証拠として注目を浴びたのは、これが今年初めてではない。8月にも別のチームが、タボル山付近のテル・レヘシュ遺跡で、紀元1世紀のシナゴーグ跡を発掘している。
ガリラヤ湖キネレット大学内にあるガリラヤ考古学キネレット研究所のモティ・アビアム上級研究員は、テル・レヘシュ遺跡での発掘の重要性について次のように述べている。
「これはガリラヤ湖周辺の人里離れた地域で初めて発見されたシナゴーグ跡で、新約聖書に書かれている『イエスはガリラヤ湖周辺の村々で説教した』という歴史的情報が正しいことを裏付けるものです」