28日正午の聖ペトロ広場でのアンジェラスの祈りに際して教皇フランシスコは、24日に起きたイタリア中部大地震の被災者たちにできるだけ早く会いに行きたいとの希望を表明し、同時に救援活動に従事する人々の献身的な働きをたたえ、感謝した。バチカン放送局日本語版が同日報じた。
教皇フランシスコは、「親愛なる兄弟姉妹の皆さん、イタリア中部大地震の被災者の皆さん、教会は心から愛する皆さんの苦しみと悲しみを共にし、亡くなられた方々や、けがをされた方々とそのご家族たちのために、心からの祈りをおささげします」と述べた。また、「できるだけ早く、私自身が父として、また兄弟として、信仰の慰めと抱擁、キリスト教的希望の支えをもたらすために、皆さんのもとを直接訪問したい」との考えを表明した。
さらに、「今日の主日のミサ中に朗読されたキリストの福音は、傲慢(ごうまん)や出世主義、虚栄、見栄などが、どれほどの悪を私たちにもたらすかを示しています。イエスは私たちにいつも最後の場を選ぶよう、すなわち小ささや、謙遜な態度を取るよう勧めています。神の御前で私たちがへりくだればへりくだるほど、神は私たちを高め、神ご自身が私たちを高く上げるためにその身をかがめてくれるのです。なぜなら、自らを高める者は低くされ、へりくだる者は高められるからです」と話した。
教皇フランシスコは、「神は人間よりもっと寛大なことを忘れないようにいたしましょう。神は、人間が与える場よりもっともっと美しい場を私たちに準備してくれます。神が私たちに賜る場は、神の心のすぐ近く、永遠の命です」と説き、「イエスは言われます。あなたが受ける報いは、義人たちの復活、永遠の命です」と結んだ。
これに先立ち、イタリア中部のマルケ州にあるアスコリ・ピチェーノという町では、付近の3つの町を荒廃させ、少なくとも290人が死亡した今回の地震による犠牲者のための国葬が行われた。会場は、嘆き悲しんでいる遺族や同国で最高位の政治家たちで満席になった。バチカン放送局英語版が27日に報じた。
35の棺桶が並べられた地域の体育館で、死者のためのミサがジョバンニ・デルコレ司教によって行われた。葬儀では、泣いている親戚たちがお互いを抱擁し、簡素な木製の棺桶に触れようと手を伸ばした。
並べられた棺桶の中には、1歳6カ月の赤ちゃんと9歳の女の子の遺体が入った小さな棺桶があった。この2人は、今回の地震によって亡くなったことが分かっている21人の子どもたちのうちの2人だ。
デルコレ司祭は説教で、「あなたがたの災いを嘆き悲しむことを恐れないように。私たちはあまりにも多くの災いを目にしてきたのですから。けれども私は、自らの勇気を失わないよう、あなたがたに求めます」と述べた。また、この地震で荒廃した何十もの教会のうちの1つから回収され、ほこりにまみれた受難のキリスト像を前にして、「共にあってのみ、私たちは自らの家や教会を建て直すことができるのです。何よりも共にあって、自らの地域社会に暮らしを取り戻すことができるのです」と語った。
最も大きな被害を受けたアマトリーチェでは27日、さらに9人の遺体が見つかったが、このうち3人の遺体は、倒壊した「ホテル・ローマ」のがれきの中から発見された。住民や旅行者たちの死者数は、アマトリーチェだけで230人に上った。
今回の地震による犠牲者のための追悼がこの日、イタリア全土で行われたと、バチカン放送局英語版は同日報じた。
イタリア当局によると、この地震で負傷した400人近い人々が病院で手当を受けており、そのうち40人が危篤状態だという。マグニチュード6・2のこの地震により、山岳地帯にある家屋が倒れ、推計で2500人が住む家を失った。これは、2009年にイタリア中部の都市ラクイラで300人を超える死者を出した地震以来、最も致命的な被害となっている。
救助活動が続く一方で、マッテオ・レンツィ首相は25日、同国の再建を助けるための新たな資金と措置を約束した。イタリア政府は暫定的に5千万ユーロの支出を緊急資金として許可するとともに、地震に襲われたイタリア中部の住民に対する課税の免除を命じた。