【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は4月28日、中部イタリア地震の被災地アブルッツォ州を訪問した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
6日に中部イタリアで発生した地震は、アブルッツォ州都ラクィラと周辺市町村を中心に300人近い犠牲者を出し、3万人以上が家屋を失う深刻な惨事となった。
被災地訪問の朝、イタリアは強風を伴う悪天候に見舞われ、教皇は予定されていたヘリコプターではなく、車で現地に向かった。
教皇が最初に訪れたオンナ村は、今回の地震で最も大きい被害を受けた地区の一つ。家屋の大半が崩壊、住民約400人の同村で、39人が犠牲となった。
続いて教皇は、ラクィラ市内に向かった。同市のコレマッジョ聖堂は、このたびの地震で、本廊と翼廊の交差部が崩壊・落下し、内陣も大きく損傷した。ただし、同聖堂の創立者、教皇聖チェレスティーノ(ケレスティヌス)五世の聖遺物は無事だった。
教皇は今回の災害の救援本部が置かれたラクィラ郊外コッピトの税務警察署で、市民をはじめ、被災市町村の行政責任者、司祭や修道者、救助隊員やボランティアらと会見した。
教皇は、キリストの死と復活を記念した私たちは、神の御言葉に新しい光を見出しながら、この悲しい出来事にも人々が神への信頼と希望を失わないようにと祈ったと教皇は話され、この希望と共に、社会がそれぞれの責任を明確にすることで、「ラクィラ(鷲の意)は、再び飛ぶことができる」と励ました。