ドランテス(中米メキシコ)
ドランテスは、メキシコ人で、まだ聖書を知らない人たちのところに出掛けて行っては、聖書を販売したり、聖書のお話をする仕事をしていました。メキシコの人たちは、聖書のお話を知らないばかりか、ある人たちから聖書はうそが書いてある本だから読まないようにと教えられていました。ですから、ドランテスが聖書を売りに行くと、時々大変なことが起こりました。
ある時のことです。ドランテスから聖書を買いたいという人がいるという話を聞きましたので、その人の家に出掛けました。ところが、本当は聖書を買いたいというのはうそでした。「こんなうその本を売っている“悪い“人間を殺してしまおう」とドランテスの来るのを待っていたのでした。
ドランテスが行きますと、「外に出ろ」と言いますから、出ますと、穴が掘ってありました。そして、2人の兄弟がピストルを持って立っていました。「お前は、うその本を売っているので、がまんがならない。そこに立て。ピストルで蜂の巣のようにお前の体に穴を空けてやる。そして、その後でそこの穴に埋めてやる」とおどしました。
でもドランテスは、「これはうその本ではありません。うそどころか、世界中で一番大切な本です。うそでない証拠に少しだけ読ませてください」と言いました。その兄弟は「よろしい。どうせ、お前はその後で死ぬんだから」と言って、読むのを許してくれました。
ドランテスは、イエス様がどんなに愛の深い神様であるかを聖書から読んで聞かせました。その家族の一番小さい女の子が「こんなに素晴らしい言葉が書いてある本を売っている人を殺さないでちょうだい」と、お母さんやお兄さんたちにお願いしました。
ドランテスが聖書をもっと読み進んでいくと、その2人の兄弟もピストルをポトリと落とし、涙を流して、「さあ、家に入って、もっと聖書の話を聞かせてくれ」と言い、その話を聞いて、イエス様を信じるようになりました。
聖書には、人の心を変える大きな力があるのです。
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