「『正義の戦争』というものはないと私たちは信じる」。この言葉は、非暴力と平和創造に関するローマ・カトリック教会の実践と教えの変革を考察する国際会議最終日の14日に公表された声明文の中心にある。バチカン放送局が同日、報じた。
カトリックの平和ネットワーク、パックス・クリスティ・インターナショナルとバチカンの正義と平和協議会が共同で主催したこの3日間の会議には、世界中の紛争地帯から約80人の神学者や平和運動家たちが集まった。
バチカンでの記者会見で提示されたこの声明文は、非暴力運動という福音のメッセージを探求するとともに、「非暴力と正義に基づく平和(Just Peace)に関する回勅を世界に伝えるよう」教皇フランシスコに求めている。また、カトリック教会の全ての機関や神学校、教区、教育機関で、非暴力の実践や方策を開発、促進し、教えるよう呼び掛けている。
カトリック教会に対しては、「一連の基準が満たされた場合に、戦争を道義的に正当化できると認める『正義の戦争』論をもはや用いたり教えることのないように」と呼び掛けている。軍事行動を予防ないし制限するよりも、むしろ支持するために「『正義の戦争論』が用いられることがあまりにも多すぎた」と、参加者たちは考えている。
この会議で平和創造の実践的な経験を伝えた人たちの中に、ウガンダ北部にあるグルのジーン・バプティスト・オダマ大司教がいた。「どんな戦争も破壊であり、命や財産の破壊に正義などない・・・だから、命の破壊のために資源を費やしてはならない」
参加者たちは一方で、自分たちが呼び掛けているのは、「正義の戦争」論に関する1700年にわたるカトリック教会の教えの歴史的な変革だと述べた。しかし、もう一方で、それは単に、ヨハネ23世が画期的な『回勅 パーチェム・イン・テリス 地上の平和』を記してから、教皇たちが過去半世紀にわたって指し示してきた方向における次の一歩にすぎないと強調している。
非暴力の証しのための新しい空間
会議の主催者たちは、教皇庁正義と平和協議会会長のピーター・タークソン枢機卿を含む9人のメンバーがこの会議に出席していたことに留意し、そのような非暴力の証しが根付くために教皇フランシスコが「新しい空間」を開けているとの認識を示した。また、この会議が、非暴力による平和の創造に対するイエスの力強い証しを、カトリック教会のメッセージと宣教の中心に戻すことに向けた一里塚となるよう望んでいるという。
なお、日本カトリック正義と平和協議会によると、この会議には、同協議会会長の勝谷太治司教(札幌教区)も参加したという。