2011年3月に内戦が始まって以来、内戦で破壊されたシリアのキリスト教徒のうち3分の2が去ったと、シリアのあるカルデア人カトリック司教が指摘した。すでに約100万人の信者が国を去ったことを意味する。アントワーヌ・アウド氏は記者に対し、2011年の時点でシリアには約150万人のキリスト教徒がいたが、5年後の今は約50万人しか残っていないと述べた。
キリスト教徒と他のシリア国民数百万人が、今も続くバシャル・アサド大統領とその政権を打倒しようとする多くのイスラム反体制派、そして2014年以降は過激派組織「イスラム国」(IS)を交えた内戦から逃れるために国を去った。
アウド氏は、アレッポの町の16万人以上いたキリスト教徒の共同体のうち、今は約4万人しか残っておらず、彼らは多くの爆撃やさまざまな困難をここ数年にわたり耐えてきたと明かした。AFP通信によると、アウド氏は「私たちが毎日直面している危険を想像できないでしょうね」と語ったという。彼は、経済的に豊かなキリスト教徒は逃げることができているが、中流階級は貧困層に、貧困層は惨めな状況になったと明かした。
アサド政権は国際社会から、他の分派と同様、内戦の際に人権侵害を行っているとして非難を受けているが、アウド氏は、シリア政府はキリスト教徒を迫害していないと主張した。彼は、キリスト教徒はISによって標的とされており、無数の信者を実際に斬首したり殺害の脅迫をしてきただけでなく、さらに「シリア社会を不安定にし、内戦を宗教戦争に」しようとしていると述べた。
アウド氏はさらに、内戦前、シリアではイスラム教徒の共同体とキリスト教徒の共同体が平和に隣り合って住んでいたと語った。「私は、・・・この戦争はシリア内部からのものではないと思います。外からシリアを破壊するために組織されたことだと思います」
アウド氏はさらに、2015年5月には、アレッポでキリスト教徒は毎日「爆弾の下」で生きていて、応戦するための武器を持っていないため、最も自衛手段を持っていない人々だったと明かした。「私たちは毎日爆弾の下にいます。多くのキリスト教徒がアレッポから逃げ、沿岸地域で避難所を探すだろうと私は思います。しかし、試験の後に学校や大学が休みに入ってから行います。私たちが生活しているこの災害下で、アレッポの中央部では、今年ですら学校や大学はまだ開いています」とアウド氏は語った。「多くの人は、将来がないように見受けられる町に住んでいても、勉強は将来のために重要だとまだ信じています」