著名牧師で信教の自由の活動家が20日、キューバで逮捕された。バラク・オバマ米大統領が公式訪問のために到着する数時間前のことだった。20日早朝、マリオ・フェリックス・ジェオナルト・バロッソ氏は逮捕前、世界キリスト教連帯(CSW)に、自宅と教会が警察と治安部隊に包囲されたと伝えた。
バロッソ氏はその後逮捕され、職員に連行されたが、妻のジョアクシス・マルチェコ・スアレスさんは自宅監禁された。マルチェコ・スアレスさんと夫妻の若い娘2人はビジャ・クララ州タグァヤボンの自宅に閉じ込められ、電話線が切られた。
電話線が切られる前、マルチェコ・スアレスさんは電話でCSWと話すことができた。家族と教会はバロッソ氏と直接話すことは許されていないが、マルチェコ・スアレスさんは、夫はサンタ・クララに連行され、飲食物を与えられていないと言われたと述べた。
先週、公共交通機関で何者かにピンで刺されてから、バロッソ氏はこの週末すでに体調を崩していたともマルチェコ・スアレスさんは語った。
「昨晩私たちは受難週が始まりましたが、夫は教会で準備した説教をすることができなかったのです。・・・私たちは彼のために、また牢獄で寝起きする全ての活動家のために、できる全てのことをし続けます」とマルチェコ・スアレスさんはCSWに述べた。
CSWによると、キューバでは教会に対する弾圧が続いており、CSWは政府が「あらゆる社会的不穏の可能性を摘むことを目的に、宗教団体の活動とメンバーシップに対する統制を強めていること」を非難している。
昨年5月に発表された、キューバにおける信教の自由についての年次報告書は、国内での宗教的自由に対する暴力の増加を「厄介だ」と指摘している。毎週日曜日、ミサへの出席を妨害するため、男性も女性も暴力的に逮捕され、一時的に収監される。また宗教活動に関係した留学生は退学処分を受け、ビザを取り消されている。
バロッソ氏の逮捕は、オバマ大統領がキューバ入りするわずか数時間前のことだった。オバマ大統領は21日、ラウル・カストロ国家評議会議長との首脳会談を持ち、その中で言論と集会の自由の拡充に言及することを約束した。「私はカストロ議長と直接この問題について話します」と、オバマ大統領は10日、キューバの反体制派「レディース・イン・ホワイト」に語った。
しかし、ハバナでの午前のミサに行く途中で、レディース・イン・ホワイトに関連する50人以上の人権活動家が逮捕され、勾留された。「オバマ大統領は特別な挑戦の中にいます。彼は歴史上初めてキューバの古い専制政治に大きな後押しをする米国の指導者となるか、それを解消させる対抗手段を見いだした人として記憶されるかの分岐点に踏み出そうとしています」とマルチェコ・スアレスさん。
「さしあたって、私たちは少なくとも彼が、毎日この政権が行っている人権侵害を激しく非難するかを見てみましょう。今となっては、私が言えることは、ハバナに到着し体制の盲従者にあいさつしたときのオバマ氏の満面の笑みと、現実のキューバに息づくこの圧制的な空気には、巨大な隔たりがあるということです。短期の滞在によってだけでは、彼はこの空気に適応できないだろうと私は確信しています」
CSWの最高経営責任者マーヴィン・トーマス氏は、バロッソ氏の逮捕を非難した。「オバマ大統領がこの島を訪問するちょうどその歴史的な日にジェオナルト・バロッソ氏を勾留し、妻子を自宅監禁下に置いて交流を遮断し、またレディース・イン・ホワイトのメンバーや他の多くの活動家を暴力的に逮捕するというキューバ政府の決定は、キューバにおける人権尊重の向上を後押ししてきた米国や欧州連合、他の国々の顔を平手で打つような行為です。私たちはこのような事件の発生に深く失望し、オバマ大統領に緊急にこれらの囚人を釈放することを要求するよう呼び掛けます。もしこの週末の事件が沈黙の裏で流されることが許されるなら、将来の人権の改善の可能性について悪い前触れとなるでしょう。私たちの祈りはジェオナルト・バロッソ氏とジョアクシス・マルチェコ・スアレスさん、また今日も牢獄にいる他の全ての人権活動家や民主活動家と共にあり、キューバの新しい時代の夜明けを歓迎する日が来るよう祈ります」