立教大学の吉岡知哉総長は11日、東日本大震災から5年を迎えるに当たり「私たちは忘れない-5年目の3・11に-」と題した声明を同大のホームページに公開した。「私たちは2011年3月11日の出来事を忘れることはない」と強調し、「持続的な支援活動を通じて、未来に続く道を拓いていきます」と述べた。
同大は、2003年から陸前高田市の矢作町生出地区で課外教育プログラム「林業体験」を展開し、学生や教職員が地元の人々と交流を図ってきた。震災後は、同市に重点的な支援を続け、12年には提携、交流協定を締結した。これまでにも学生ボランティアに加え、スポーツ分野での交流プログラム、学部や留学生による復興支援プログラムなどで延べ千人を超える学生が同市を訪問している。
さらに今年1月には、同市と岩手大学と三者間で、地域創生、人材育成などの推進に関する相互協力と連携協定を締結。15年10月に発表した中長期ビジョン「RIKKYO VISION 2024」において、「陸前高田サテライトキャンパス」の開設を掲げ、同市との息の長い交流を支える拠点の整備を構想している。
吉岡氏は、「この間、私たちは具体的な支援活動に参加することが、いかに生きた想像力を養い、他者の目で自分と世界の有り様を見る力を育てるかを実感してきました」と述べ、今後も持続的な交流を続けていく考えを示した。
一方で、原発事故による復興の難しさにも触れ、「大学は問いを発する存在です。一時期はすべて停止していた他の原子力発電所が徐々に稼働を始めるなかにあって、私たちは端的に、『3・11とは何であったのか、何であり続けているのか』と問い続けなければなりません」と訴えた。
吉岡氏は、「被災した人々は忘れたくても忘れることのできない苦しみや悲しみを背負いながら歩みを進めています。私たちは、現実を忘れないことによってのみ、彼らと共に、今この時間を生きることができるのです」と述べた。