英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏が7日、英BBCラジオの番組で「イスラム法(シャリア法)」を部分的に適用することを「避けることは難しい」とも受け取れる発言をし、英国内で大きな論争が巻き起こっている。
ウィリアムズ大主教は、英国内のすべての移民が公的手続きを行えるようにすることの重要性を述べ、英国内でのイスラム法を部分的に適用する可能性について言及した。
CNNによれば、大主教の発言をめぐる議論は政界にも広がり、ブラウン英首相は直ちにイスラム法適用の可能性を否定した。大主教も8日、自らのウェブサイトにBBCの取材や高等法院の講演でイスラム法の適用を提案してはいないと声明を発表している。
イスラム法では、公開処刑やムチ打ち刑、女性差別などの人権を抑圧する内容が含まれており、大主教はこれを強く批判している。一方で、イスラム教徒が文化と国家のどちらに従うかで厳しい選択を迫られるべきではないと述べ、現在、英国社会においてイスラム法が部分的に認知されていると語った。
英国では90年代半ばから移民の流入が増加し始め、移民の増加が国全体の人口増加を支えるまでに拡大している。イスラム系移民も例外ではなく、現在では英国内に約160万人のイスラム系移民がいるとされている。