私は、「神に愛されている価値のある者です」という知識を持っていながら、仕事の発注が減り、収入が落ち込むと、「自分の役目は終わったのか」と弱気になる悪い癖があります。
ところが、先日、行われたセミナーの講師のお話はとても刺激がありました。「変革を起こすためには、脳内のドーパミンが放出されなければなりません。それを促すのがpassionです。Passionは『情熱』とも訳されるが『受難』とも言います。この世の中で一番のpassionはキリストの十字架でしょう。マタイ受難曲はMatthäus-Passionと言われています」というお話を聞いたとき、私の脳の中で何かが目覚めたような気がしました。
キリストの苦しみに比べるなら、私の受けた試練など取るに足りないものです。発注が減っただけで落ち込んではおれない、新しい方策を考えなければいけないという気持ちが出てきました。
これもセミナーの中で語られたことですが、幸福度ランキングというのがあるそうです。国民がどのように幸福感を持っているかアンケートなどをもとに調査するものです。以前、ブータンが世界一幸福な国として話題になったことがあります。
講師の話では、経済と国民幸福度はあまり関係ないそうです。日本は第2次世界大戦後、大きな経済成長の節目を3度ばかり迎えています。経済成長の前と後では、幸福度に変化はないそうです。また、高額の宝くじに当選した方々を追跡調査したところ、宝くじで高額のお金を手に入れても、幸福度は変わらなかったそうです。
私は、「もう少しお金があれば何とかなるんじゃないか」と思うこともありました。しかし、お金だけでは、世の中の変革は起こせないし、感動も生まれないということが示されたように思いました。
私は幼少期から無意識に人と比べる生き方をしています。友達がかっこいい自転車を持っているのに、自分は持っていないと、親にねだってみたり、お小遣いを貯めて何とか手に入れようとしました。それができなければ、持っている友達をうらやましがっていました。外見も服装も友達と合わなかったり、違っていると卑屈になったり、ねたんだりしている自分がいました。しかし、自分を評価してくれる信仰の仲間に出会うことで価値観が変わり始めました。
人は自分の個性というものを鏡に写しても見ることはできません。第三者に投影されて初めて個の意識というものが出てくるそうです。自分を評価してくれる人に出会うことで人生が変わります。「あなたはかなりの変わり者だね」と言われ続けてきたのに、ある日、「あなたは独創的だね。おもしろいね」と言ってくれる人に出会うと自信が出てくるそうです。
米国に研修に行っていて気付いたことは、髪の毛の色がいろいろあるということでした。背の高い人、低い人、太った人、痩せた人、皮膚の色もさまざまです。人種のるつぼといわれるアメリカで生活していると、外見よりも大切なことは中身だということがよく分かります。その人がどのような発言をするか、行動をとるかが注目されます。
他の人の無責任な言葉に振り回されないほうがいいと思います。機敏な行動をすると、落ち着きがないと言われたり、思慮深くあろうとすると、反応が鈍いとか、決断力に欠けるとまで言われたりします。
大切なことは、自分のことを正しく評価してくれる人の言葉を忘れないようにすることだと思います。批判的否定的な意見を言われたときは、前向きな評価をしてくれた人を思い出すべきです。
この世界で私という個は、一つだけの存在です。その存在を神が選び、大切なものとして扱ってくださいます。キリストのパッションが私たちの内部に点火されるとき、今まで見たこともない大きな変革が生み出されると思います。
「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです」(ヨハネ福音書15:16)
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