「マザー・テレサ:母なることの由来」(1986年製作)のデジタル復刻版と、新作「マザー・テレサ:母なるひとの言葉」が16日か29日までの2週間、神奈川県横浜市の映画館「ジャック&ベティ」で公開される。この二作品は昨年の9月にマザー・テレサ没後10周年を記念して公開が始まり、その後各地の劇場で上映されてきた。首都圏での公開は今回で3回目となる。
マザー・テレサは1910年にマケドニア(旧ユーゴスラビア)で「アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ」として生まれ育ち、18才でインドへ赴き「テレサ」という名の修道女になる。1946年、汽車の中で「病人や死にゆく人、飢えた人、服や家のない人の世話をしなさい。最も貧しい人々への神の愛を実践するのです」という召命を受けたシスター・テレサは、修道院を出てコルカタ(カルカッタ)のスラムに向かう。そこで「神の愛の宣教会」をつくり、人種も宗教も超えた「愛による救済活動」を始めた。
「実践してこそ、愛なのです」という言葉を自らの生涯を通して伝えていった彼女の姿は、人々の心に強い衝撃を与え、世界中の支持を得た。1979年にノーベル平和賞受賞してからも変わることなく、97年に天に召されるまで、持てるすべてを貧しい者と共に分かち合ってきた。
「映像を見る人々にどのようなことを感じ、考えて欲しいですか」。「マザー・テレサ」上映委員会の奥平謙二氏は、マザー・テレサが施設での活動について訪ねられた時に語った言葉を用いて、「私が何か語ることはありません。マザーのおっしゃる通り、ただ『来て、見てください』という一言に尽きますね」と笑顔で応えた。
昨年9月の公開から約4カ月間で1万5000人余りの観客を動員。これまで全国8つの映画館で上映されてきた。神様の声に従い最も貧しい者への愛を実践し続けてきたマザー・テレサの、死後なお語られ影響を与え続けるその生涯に人々の関心が尽きることはない。
キリスト教界でも「愛だ犠牲だと言葉は立派だが行いが無い」と言われる現在、死ぬまで変わることなく貧しい人々の中に生きたマザー・テレサの姿に、多くの人々が本当に大切なこととは何かを学ぶであろう。
「貧困をつくるのは神ではなく、わたしたち人間です。わたしたちが、分け合わないからです」「たいせつなのは『どれだけのことをするか』ではなく『どれだけの愛を込めるか』です」(マザー・テレサ)。
「ジャック&ベティ」での上映は、「マザー・テレサ:母なることの由来」が午前10時半から昼12時まで、「マザー・テレサ:母なるひとの言葉」が昼12時10分から午後1時15分まで。入場券は一般1200円、学生・シニア1000円。片方の半券提示でもう片方の入場券を200円割引で購入できるサービスもある。
今後の上映予定は、ホームページ(http://www.motherteresa.co.jp/index.html)を参照。ホール上映、学校上映、自主上映の問い合せは、「マザー・テレサ」上映実行委員会(電話:03・5793・3831、Eメール:[email protected])まで。