死者44人(25日現在)を出した強力なサイクロンによって壊滅した太平洋の島国フィジーの離島や沿岸の村々に対し、同国政府と援助機関は24日、緊急に必要とされている援助を届け始めた。バチカン放送局が同日に報じた。
サイクロン「ウィンストン」が先週土曜日の夜遅くにフィジーを襲ってから時間が経過し、死者数が徐々に増えてきた一方で、同国列島の離島との通信が徐々に回復してきている。
南半球史上最大級の嵐による風や洪水で家屋が破壊された何千人もの人々が、今も避難所に身を寄せている。
バチカン放送局のリンダ・ボルドニ氏に対し、カトリックの国際的な援助・福祉団体「カリタス」のオセアニア調整担当者、ティニ・トゥアラ氏は、この緊急事態について語った。
ティニ氏によると、何千人もの人々が頭上に屋根もないまま残されてしまっていることから、直近で最も緊急に必要なのが避難所だという。
ティニ氏は、「一部の地域」では「停電しており、回復までに時間がかかるだろう。他の地域では電気は大丈夫なものの、水の供給がそうではない」と指摘した。
ティニ氏は、食糧の供給がすぐに不足するだろうし、それが短期的・長期的な懸念事項だと話す。サイクロンは非常に強力で、フィジーの列島を通じて広範囲な壊滅を引き起こした。先のことを考えると、復興の過程には長い時間がかかることにならざるを得ないという。
小さな島々の多くが、現在のところ到達するのが非常に困難なため、ティニ氏は、被害やその結果として起こるニーズについての明確な評価はまだ不十分だと指摘している。ティニ氏は、これらの島々が気候変動の最前線にあることから、カリタス・オセアニアは事前に、気候パターンの変化と自然災害による影響に備えていたことを話した。
ティニ氏は、パプアニューギニアの全体が最近、「エルニーニョ」現象の影響やその結果起きた干ばつを経験し、大きな混乱を引き起こしたことを指摘している。トンガやサモアで気温の上昇が住民の生活に非常に大きな影響をもたらし、それによって同国政府や機関が「サイクロンを一つか二つ予測しなければならな」くなったという。
新鮮な水の不足とインフラに対する被害によってデング熱やジカ熱の症例が生じ得ることについての懸念に関し、ティニ氏はこう述べている。「それを意識するのにこのサイクロンを待たなくてもよかった」
ティニ氏は、フィジーや近隣地域の住民は、蚊によってもたらされた病気の伝染にすでにさらされてきていると説明した。「これらのことは私たちの地域で起きていて、それらは天候パターンの変化によって引き起こされていると私は思う」と話す。
ティニ氏は、フィジーの住民に対して心から寄り添う気持ちを表しており、「この時にあって、彼らを支援し、そして彼らと共に歩むために、カリタス・オセアニアはできる限り全てのことをする」と保証している。