大型の熱帯サイクロン「ウィンストン」によって引き起こされた壊滅的な被害に対し、フィジー最大のプロテスタント教派、フィジー・メソジスト教会は25日、対応を詳細に計画したとフェイスブックで伝えた。
このサイクロンによる死者数は25日現在で42人に達したと報じられている。一方、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は24日、同教会とフィジー教会協議会に対し、ウィンストンによる犠牲者を覚えて祈りと哀悼の意を書簡で伝えた。
フィジー・メソジスト教会のエピネリ・バカデワボサ総幹事は、同教会の災害対策委員会が、短期的・中期的および長期的な対策とともに直近の対策を練り出したと述べた。
その対策に基づき、同教会は、政府や赤十字による救援活動との重複を避けつつ、ウィンストンの恐ろしい猛襲を免れた教区の教会員に対し、被災地へ配給する衣類や寝具類、厨房器具、灯油および灯油ストーブや灯油ランプと水を寄付するよう呼び掛けている。また、3月6日の「収穫主日」で献金を被災者救援活動の支援のためにささげるという。
同教会は、教会員や海外の協力関係にある教会や機関から受け取った資金が災害対策のために確実に使われるように「メソジスト・ハリケーン救援(Methodist Hurricane Relief)」という口座をウェストパック銀行(オーストラリアの市中銀行)に開設した。
他にも、避難所としての役目を果たすことが多い教会学校や公民館の修理や再建が対策に含まれている。同教会は、オーストラリアにある協力団体、ユナイティング・ワールド(Uniting World、オーストラリア合同教会の援助機関)と共に活動し、ウィンストンによる被害で心に傷を負った人々との相談ができるよう、牧師や教会の職員を対象に緊急時用の技能訓練を行うという。
一方、24日に同教会に対し、ウィンストンによる犠牲者を覚えて祈りと哀悼の意を書簡で伝えた世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は、このサイクロンによって広がりつつある危機に深い憂慮を表明した。
「このような試練の時にあって、世界教会協議会の祈りがあなた方の教会とあなた方の指導者たちのためにささげられているのだという確信を持ってください」とトヴェイト総幹事は記した。「あなた方が直面している課題は世界中の教会が感じ取っており、この危機の時にあってあなた方と連帯しているのです」
トヴェイト総幹事は、たとえ暗闇の中にあっても必ず希望があるとのメッセージを伝えた。「この失望と悲しみの時でさえ、あなた方が神の朽ちることのない愛と憐れみを見いだすものと、私は確信を持っています」と同総幹事は記した。
同総幹事はまた、フィジー・メソジスト教会も加盟しているフィジー教会協議会に対し、「私たちはエキュメニカル運動において、お互いの苦しみと希望を常に分かち合っていることをしばしば思い起こします。私たちは、苦しんでいる人々のためにあなた方が希望の声となることができるよう祈ります。世界中のクリスチャンたちがあなた方と連帯しているということを、どうか知ってください」と記した。
同協議会の加盟教派の一つ、フィジー・キリスト・コミュニティー教会はフェイスブックで、このサイクロンによる被災状況や、被災者への支援の様子を写真入りで伝えている。フィジーの首都があるビティレブ島の西部に位置する郊外の都市ラウトカでは、同教会の牧師が同地で被災した家族を訪問し、食料品などを提供した。この迅速な支援は、これらの家族に対する励ましであり「神の愛と気遣いの表現」だという。
フェイスブックやツイッターでは、「ウィンストンよりも強い(StrongerThan Winston)」という標語の下に、このサイクロンに負けない力強い意思を表し、被災者と連帯する国際的な運動が起きつつある。その中には、住居の屋根を吹き飛ばされても、レントの季節にあってキリストの十字架と復活を覚えつつ「私たちはウィンストンよりも強い」と記して被災に打ち勝とうとする、力強い信仰の証しを記したクリスチャンの被災者もいる。
そして米国でも、キリスト合同教会(UCC)やフォースクウェア教団などが被災者支援のための募金活動を行っている。
なお、日本では、日本ユニセフ協会も、国連児童基金(ユニセフ)を通じてフィジーのサイクロン被災者を支援するために、自然災害緊急募金を行っている。詳しくは同協会のウェブサイトへ。