先週末にわたって、この地域で観測された中で最大級の嵐が、トンガで広範囲の被害をもたらした後、フィジーの島々を襲った。アオテアロア・ニュージーランドおよびポリネシアの聖公会はすでに、被災についての評価を行い、対応を始めるべく活動している。アングリカン・コミュニオン・ニュース・サービスが22日に報じた。
「ウィンストン」は、サイクロンの5段階分類で最も高い「カテゴリー5」に分類され、風速は時速325キロメートル、高波は12メートルにまで達した。
被害は広範囲にわたっているが、通信が不通となっており、この嵐による被害の全体像はまだ分かっていない。メディアの報道では、この嵐による死者は29人(23日現在)、それより何十人も多くの人々が負傷した。
フィジー教区総代理のオリシ・ブキ牧師はアングリカン・アライアンスに対し、「状況は非常に深刻です。多くの場所で停電が起きているため、私たちの教区や学校と連絡を取るのがとても困難なのです」と語った。
今の優先課題は、島々の人たちが安全であることを確認し、食糧や水、避難所、そして医療といった当面の支援を受けられるようにすることだ。
道路はひどい状態だと報じられている。食用作物と共に水の供給に被害が出ていると、オリシ・ブキ牧師は語った。
被災した地域の多くは離島にある。電力や通信回線が途絶えており、現在は情報を得るのが難しい。
フィジーの国家災害管理局は、人々は自宅から避難して全諸島にある32カ所の緊急避難所に滞在していると報告している。一部の教会も避難所として使われている。
週末に出されていた政府による外出禁止令は22日の朝に解禁となったが、学校は今週いっぱい閉鎖されたままとなり、その間にがれきの除去作業が始まる。政府はこの自然災害に対応して、30日間の緊急事態を宣言した。
フィジーのフランク・バイニマラマ首相は20日、このサイクロンが接近しつつあったとき、「国として私たちは最も悲惨な類いの厳しい試練に直面している。私たちは国民として団結し、お互いを気遣わなければなりません」と語った。
アオテアロア・ニュージーランドおよびポリネシア管区のアングリカン・ミッションズ・ボード(聖公会宣教委員会=AMB)はフィジー教区と共に活動し、この状況に対応して緊急アピールを開始した。
AMBは「ポリネシア教区は、私たちが提供できるどんな支援にも大変感謝してくれるでしょう」と述べている。AMBは、現在フィジーで活動しているポリネシア教区主事兼登記官のジョン・シモンズ氏がアングリカン・ミッションズに対し、「この深刻なサイクロンによる被害を受けたポリネシアにいる兄弟姉妹たちを助けるために、ティカンガの兄弟姉妹たちからの支援が緊急に必要です」と語ったと報告している。
一方、オーストラリアのアングリカン・ボード・オブ・ミッション(聖公会宣教委員会=ABM)でプログラム・ディレクターを務めているジュリアンヌ・スチュアート氏は、この地域からの連帯を表明し、「ABMは、愛する人たちを失い、負傷や家屋や畑を失ってしまったフィジーの人たちのために、そしてハラプア大主教とフィジーのポリネシア聖公会のために祈るよう求めました。私たちは現在、フィジーの聖公会と、彼らの宣教委員会であるニュージーランドのAMBを通じて連絡を取ろうとしています」と記した。
アングリカン・アライアンスはオリシ・ブキ牧師に対し、アングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)がポリネシアの聖公会や人々とどうすれば連帯できるか話してほしいと求めたところ、同牧師は「神がフィジーとトンガに介入してくださるよう、どうか祈ってください。この困難な時にあって、私たちにはあなた方の祈りと支援が必要なのです」と語った。
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なお、フィジー政府のフェイスブックには、ニュージーランド空軍が空撮した、ウィンストンで破壊された家屋や教会などの写真が数多くある。
また、ニュージーランドでは、キリスト教に根ざして住宅支援を行う国際NGO「ハビタット・フォー・ヒューマニティー」が、「フィジーでは14万人が水準以下の家で暮らしている」などとして、被災者のための募金活動を行っている。