海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」(全長84メートル)艦内で、乗組員の2等海尉(当時39)が拳銃で自殺を図ったことについて、海上自衛隊は、上官のパワーハラスメントが原因だとする調査結果をまとめ、上司や元上司の幹部自衛官3人を停職などの懲戒処分にした。一方、この処分は昨年10月に行われていたが、12日まで公表されていなかった。NHKなどが伝えた。
NHKなどによると、2013年9月、広島県呉市の海上自衛隊呉基地に停泊していた「そうりゅう」艦内の寝室で、2等海尉が拳銃で自殺を図り、一時意識不明となった。2等海尉はその後意識を回復したが、海上自衛隊は、当時上司だった40代の幹部自衛官2人と、元上司の30代幹部自衛官1人の合わせて3人によるパワーハラスメントが原因で自殺を図ったとする調査結果をまとめた。
NHKによると、防衛省は原則、懲戒処分の場合は公表することにしているが、今回の処分は12日まで公表されていなかった。共同通信によると、海上自衛隊ではいじめやパワーハラスメントを原因とする自殺が相次いでおり、内部からも公表を求める声が多かったという。
海上自衛隊は、プライバシーの配慮を考え公表の有無について検討してきたと説明した上で、再発防止に努めるとしている。
「そうりゅう」では12年10月、潜航中に3等海曹(当時20)が行方不明になり、艦橋部のセイル内で倒れているのが発見された。セイルは潜航中に水が流れ込む部分で、3等海曹は溺死していた。遺書のようなものも見つかり、海上自衛隊の事故調査委員会が自殺の可能性が極めて高いとする調査結果をまとめていた。