シンガポールにあるシティー・ハーベスト・チャーチ(CHC)の資金流用事件について、20日、創設者であり牧師のコン・ヒー被告が懲役8年、他の5人の指導者も懲役1年9カ月から6年の実刑判決を受けた。コン被告の妻の音楽活動資金とするために、3500万ドル(約43億円)を着服したとされている。来年1月に収監される予定だ。
元資金管理者のチュウ・エン・ハン被告は懲役6年、 副主任牧師のタン・イェ・ペン被告は懲役5年5カ月、財政部主任のセリナ・ウィー被告は懲役5年、元財政委員のジョン・ラム被告は懲役3年、元財政部主任シャロン・タン被告は懲役1年9カ月の実刑判決を受けた。
コン被告と他5人の被告は10月、コン被告の妻で歌手、またCHCの牧師でもあるスン・ホー氏の音楽活動と、その米国でのアルバム発売を経済的に支援するための導線としてマネジメント会社「エクストロン・プロダクション」を利用したことにより有罪判決を受けていた。
教会の指導者たちは、ホー氏に資金提供するマネジメント会社「エクストロン・プロダクション」を通しての架空の投資契約を結んだとして有罪となった。
判事は、被告自身が「不当な利得」を得た証拠がないとして、最高刑の懲役20年を科さないことを選択した。また、コン被告が妻のポップ歌手としてのキャリアを伝道のために使おうという教会の試みを指揮し、主導していた総体的な霊的指導者であることから、コン被告の過失が最も重いと述べた。
検察官は、51歳のコン被告と他の指導者たちに対し、懲役11年から12年を求刑していた。
裁判の間、教会員は指導者を支援した。CHCは10月の有罪判決後、声明を発表し、教会員に対し指導者のために祈るよう勧めた。
「私たちは、ここ数年間、特に極度に困難なこの数カ月間にわたり、このような力と一致を見せてくださった教会員の皆さん一人一人に感謝したいです。CHCに対する神の召しを思い出し、心に留めておくようお願いいたします」と、教会のウェブサイトに投稿された声明は述べている。「私たちはここ最近、神に信仰、信頼を置き、神のもとで休むとはどういうことかを学びました。学んだことを実践しようではありませんか。『CHC 2.0』を通じて天の召命を実現するために、団結しましょう」
有罪判決の言い渡しの中で、判事は、「6人全員が加担し、それぞれが機械の歯車のように機能し、役割を果たした」と述べた。「被告らは、エクストロン・プロダクション社の契約が実質的な投資だと考えていたと主張した。彼らは、エクストロン・プロダクション社の契約はCHCに財政的な利益をもたらすと考えていた。検察は、彼らがそのような考えを持っていなかったということを合理的な疑いを超えて証明したと考えられる」
一方で判事は、「永続的な損失を意図せず、疑いのない信頼と信用をコン被告に寄せていたこと、また『クロスオーバー』が成功するだろうという自信から引き起こされたことから、6人が皆、不正な損失を引き起こそうとして不誠実に行動したわけではないということは議論に値するかもしれない」とも述べた。
コン被告は、CHCが、妻ホー氏の音楽を通して福音を世界中の人々に届けることを目的としたプロジェクト「クロスオーバー」を通してのみホー氏を支援していたと主張していた。
しかし判事は、「『クロスオーバー』の目に見える成功は誇張されている」とし、教会の資金のうち何百万ドルもがエクストロン・プロダクション社に流れ、ホー氏が米国で20万部以上アルバムを売ることができるという「非現実的なプロジェクト」の下に資金が動かされていたと述べた。