【CJC=東京】ブラジルのTVドラマ界では今、レコルデ局で放映中の「十戒」を題材にした大河ドラマが空前のヒットとなり、話題を呼んでいる。ブラジルの邦字紙『ニッケイ新聞』が、10日付の地元紙『フォーリャ』の記事を引用して報じた。
話題となっているのは、3月から放送を開始したドラマ「オス・デース・マンダメントス」。ブラジルでは、月曜日から土曜日までの夜9時以降の時間帯は、この50年間、グローボ局のドラマが独占していたという。ところがこのドラマは、この時間帯のレコルデ局の番組としては前例がないくらいに健闘し、最近ではグローボ局の視聴率を抜く事態にまでなっている。
特に10日の放送がかねてから話題となっていたのは、この日、主人公モーセが紅海の中を渡る「出エジプト」の回が放映されることになっていたからだ。
宗教界にも影響を及ぼした。ペンテコステ派の実力者、シラス・マラファイア牧師はこの日、「十戒」の放送時間中に行う予定だった集会の時間を、「これでは信者が来ない」との理由でずらしたという。マラファイア牧師はこれを「レコルデ局の陰謀だ」とまで語っている。
サンパウロ大都市圏での視聴率は、最高で31ポイント、平均でも28ポイントを記録した。これに対しグローボ局の番組は最高21ポイントで平均19ポイント。同局のお膝元リオデジャネイロでも、「十戒」が最高34ポイントだったのに対し、21ポイントにとどまった。
レコルデ局でモーセが紅海を割ったその瞬間、グローボ局はニュースの時間で、別名「赤線」と呼ばれるリオのジョアン・グラール高速道で起こった銃撃戦の模様を流していたという。