【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は15日、定期訪問のためバチカンを訪れていた日本の司教団と会見した。司教らは10日から定期訪問を始め、使徒ペトロ、パウロの墓前ミサ、バチカンの各省・評議会・委員会等訪問、また日本の福音宣教に従事している修道会の代表者らとの集いなどの後、訪問最終日に教皇と団体接見した。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は挨拶の冒頭、故濱尾文郎枢機卿を想起、司教団に改めて弔慰を伝えた。教皇庁移住移動者司牧評議会議長をも務めた同枢機卿の長年にわたる教会への奉仕に教皇は感謝を表すると共に、日本の教会と教皇庁の交わりの絆を体現した同枢機卿の冥福を祈った。
続いて教皇は現在の日本のカトリック教会の状況をふまえ、司牧的指針を示した。
教皇は、キリストを勇気をもって告げることは今日も教会の最優先事項であることに変わりはないと述べ、日本の教会の課題は、キリストのメッセージを現代社会の文化の中にもたらすための新たな道を追求することであり、人口に対し信者の占める割合は少なくとも、信仰という宝を日本社会全体と分かち合っていくべきだ、と語った。
世界は希望のメッセージを必要としており、高度に発展した国々においても、多くの人々が経済的成功と技術の発達だけでは心を満たせないと感じていると指摘した教皇は、家族や社会における愛の実践は人々をキリストとの出会いに導き、それは日本が遺産として受け継いできたすべての気高く良きものにさらなる力を与えることになるだろうと述べた。
教皇は特に世俗的な現代文化の中で脆い希望に生きる青少年たちを神に導く必要を説き、信仰を見出した若者たちの中から司祭や修道者への召し出しがより多く生まれるよう、活発に召命を推進し、祈るよう希望した。
さらに、日本の教会における外国籍信徒の増加に言及された教皇は、これを教会を豊かにし、神の民の真の普遍性を体験する機会とするよう期待、これらの人々を皆温かく受け入れることで、日本の教会は彼らから大きな賜物を受けるだろうと語った。またこれと共に、普遍の教会の典礼と規律が保たれるよう留意を促した。
教皇は、188人日本殉教者の列福は、キリストの証人の力と強さを日本の歴史の中で明示するものであると述べ、ペトロ岐部とその仲間たちの雄弁な証しを日本の教会と共に神に感謝したいと述べた。