【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は2日、イタリア人ジャーナリストに機密文書を漏えいした疑いでバチカン高官ら2人を逮捕したと発表した。2人とも、教皇フランシスコがバチカンの財政・金融改革のために設置した委員会のメンバー。
伊紙『スタンパ』(電子版)によると、両容疑者はコンピューターに保存されていた機密文書を持ち出し、イタリア人ジャーナリスト2人に漏えいした疑い。機密文書に基づき、教皇の進める改革への抵抗勢力の存在などを暴露したジャーナリストの最新刊が5日に出版されることが明らかになったため、逮捕に踏み切ったと見られる。
逮捕されたのは財務部次官のスペイン人聖職者、モンシニョール・ルシオ・アンヘル・バジェホ・バルダ容疑者(54)と、イタリア人の広報コンサルタント、フランチェスカ・イマコラータ・シャウキ容疑者(33)。
バチカンは漏えいについて「教皇が寄せた信頼の重大な裏切り」と非難した。シャウキ容疑者は捜査協力に同意したため2日に釈放された。
バルダ容疑者は保守的な活動で知られる「オプスデイ」の会員。教皇が2013年7月に設置した改革委員会の取りまとめ役を務めた。シャウキ容疑者は同委員会のメンバーだった。委員会は昨年、バチカン財政・金融の透明性を向上させるための機構改革について教皇への助言をまとめ、解散している。