【CJC=東京】北京五輪まで250日を切る中、北京では都市の美化に努め、非人々のマナー向上に力を入れている。タクシー運転手9万人が初歩の英語学習へ短期集中コースで学んでいるとの情報もある。
キリスト教対策も硬軟多彩な様相を示している。中国の威信を世界に印象づけるための努力の中には、無神論国家ではないのでは、と思わせるほどのものも含まれる。
米キリスト教専門ANS通信によると、中国天主(カトリック)教愛国会の劉柏年副主席は、五輪期間中、聖書をあらゆるホテルの客室に置くよう当局に要請した、と国営新華社通信が報じている。「中国の宗教に関して外国の誤解を解消する」良策であり、「北京に来る外国人選手や旅行者の大多数は信仰を持っている。聖書は外国のホテルでは不可欠なものだ」と述べたという。劉副主席は、中国人民政治協商会議でも主張を繰りかえしている。
中国にとって、公認教会が宗教の自由を享受していることを世界に示せることは望ましいものの、一方で「家の教会」と呼ばれる非公認の地下教会の牧師や指導者が拘留、尋問され時には厳しい殴打を受けている実態との間の矛盾が難題ではある。
今夏初めに外国人労働者100人以上が国外追放処分を受けたが、実態は「家の教会」と連帯して宗教活動を行っていたため。「家の教会」は「悪魔的なカルト集団」扱いされているのだ。
8月以来拘留されているキリスト者ビジネスマンのゾウ・ヘン氏は、2トンもの聖書を配布のため持ち込んだことが違法商行為とされ、有罪となれば禁固15年の判決を受ける可能性がある。
一方で、公認のプロテスタント団体「中国基督教三自愛国運動委員会」が運営している「愛徳印刷」が創設後25年間で聖書4000万冊以上を印刷していることとの関係を理解させることは困難だ。「愛徳印刷」は近く近代的な設備の導入が予定されているが、それは中国で最大規模の一つになる。今では輸出用に各国語の聖書を印刷しているが、今後は中国語聖書の印刷を増強するという。
中国のキリスト者の数について、「愛徳印刷」が04年に、1800万と推定したことがある。しかし米国に本拠を置く宗教の自由監視団体「対華援助協会」が07年初めに報じたところでは、国務院国家宗教事務局のイエ・シアオウェン局長が、北京大学と中国社会科学院での内部会合で「中国のキリスト者の数は1億3000万に達した」と語っている。カトリック、プロテスタント双方を含んでいると見られるが、さらに大多数が非公認の地下教会「家の教会」のメンバーと推定されている。
国際的な宗教の自由に関する米国務省レポート06年版は、中国政府の公式管理を拒否するキリスト者、イスラム教徒、チベット仏教徒などを迫害するなど、宗教信仰の自由尊重が実現していない、と指摘した。バチカン(ローマ教皇庁)の高位聖職者が北京を訪問、国交正常化について意見を交換したとも伝えられ、北京五輪を控え中国がキリスト教への対策をどう打ち出すか注目される。