2011年の民政移管後初めて行われたミャンマーの総選挙で、アウン・サン・スー・チー氏率いる最大野党・国民民主連盟(NLD)が勝利する見通しであることを受け、ジョシュ・アーネスト米大統領報道官は9日、総選挙が「意義深く、激しい選挙戦」だったとし、「ミャンマーの民主化プロセスにおける重要な一歩」だと評価した。米ABCが伝えた。
総選挙は8日に実施され、現在も開票が続いているが、NLDが与党・連邦団結発展党(USDP)に圧勝するとみられており、USDPのテイ・ウー党首代行も9日、事実上敗北を認める発言をしている。
アーネスト報道官は、女性や若者、少数民族など幅広い層が総選挙に参加したことは米政府にとって励ましだと語った。一方、ミャンマーの現憲法では、外国籍の家族を持つ人は大統領になれない規定があり、英国籍の息子を持つスー・チー氏がNLD党首であっても大統領になれないことなどを挙げ、ミャンマーの政治システムに「構造的、組織的な欠陥」があると指摘した。しかし、「あえて言えば、幾つかの不備はあるが、われわれがミャンマーで目にした劇的な変化を否定するものは何もない」と語った。
一方、ロイター通信によると、東アジア担当のダニエル・ラッセル米国務次官補も、約50年に及ぶ軍事政権時代後の今回の総選挙は、「ミャンマーにおける民主化プロセスへの絶対的な一歩だった」と評価した。しかし、「困難はこれからだ」とも付け加え、米国と国際社会は、ミャンマーが必要とする現政権から次の政権への移行が信頼できるものになるよう、支援すると語った。
NLDは9日、総選挙について独自の集計結果を発表し、これまでに全国で70%以上の議席を獲得し、政権交代に必要な議席を確保できたと明らかにした。一方、選挙管理委員会は全ての議席が確定するには2〜3週間かかるとし、これまでに確定した約10%に当たる54議席の内訳を発表。このうちNLDは49議席を獲得し、USDPの獲得議席は3議席にとどまり、他の2つの少数民族政党が各1議席ずつ獲得している状況だ。