英国国教会の9割以上を受け持つとしている保険会社、エクリジアスティカル・インシュアランスは11日、鉛製の教会の屋根が盗まれるという被害が、過去1年間で2100件以上、1日にして6件の割合で発生していることを明らかにした。英国在住邦人を対象とした情報誌「ジャーニー」(電子版)が伝えた。
同社によれば、過去1年間の支払い総額は750万ポンド(約16億5000万円)に達し、05年に発生した同種の盗難に対するの支払い総額33万ポンド(約7260万円)と比較して、急激に増加している。同社は、このままでは保険料の引き上げも止むを得ないとの見解を示している。
同誌によれば、英国内の教会の8つに1つが被害に遭ったとされ、ひと気が少ない農村部の教会で被害が多いという。もっとも被害が深刻な地域は、ノーフォーク州とサフォーク州で、盗難発生件数は昨年1件であったのが、今年に入ってすでに40件に達している。
盗難の背景には、鉛や銅の国際的な価格高騰があり、屋根の他に銅像や鐘、銅製の避雷針などが盗まれる場合もある。窃盗は、特殊な器具を用いて屋根を引き剥がし、トラックで持ち去るというものであるが、屋根の工事などと勘違いされて目撃されても通報されることは少ないという。