「私たちの命は神様が与えてくださった大切な宝物です。誰に奪われても、奪ってもいけないのです!」というメッセージを一人でも多くの人々に伝えようと、日本バプテスト連盟上尾キリスト教会(埼玉県上尾市)の教会員で2児の母親でもある冨岡真奈さん(=写真2)らが、卵のキャラクター「いのちまもるん!」と共に「たいせつな命 戦争しない」と書かれた缶バッジ(=写真1)を作り、販売している。イラストは、同じく日本バプテスト連盟の太田伝道所会員である長島陽子さんが描いた。
「国民の声を聞かず、『戦争できる国』へどんどん突き進んでいく政府の姿に、皆さんは不安や強い憤りを感じているのではないでしょうか」と冨岡さん。この缶バッチ販売の発起人で代表である冨岡さんは、聖書の言葉「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5:9)を引用しながら、「平和を願う道具として用いていただければ幸いです」と話している。
冨岡さんは、この缶バッチを作ることになった経緯について、「私はクリスチャンであり、ママでもあります。安保法案反対のデモなどが各地で盛んになる中、私も何かしたいと思ったのですが、生後まもない赤ちゃんを連れてデモに参加することは困難で、家の中でニュースを見ては悶々(もんもん)としていました。そんな時、缶バッチなら自分のバックに付けて反対の意思をアピールできると思い、同じママである長島さんに相談して製作に踏み切りました」と説明する。
「安保法案、原発、貧困など、世の中の暗いニュースを見るたびに、『こんな時代で子育てをして大丈夫なのか?』と弱気になることもありました」と冨岡さん。「しかし、娘たちのかわいい笑顔を見るたびに、『この子たちが今よりももっともっと平和で安心して暮らせる社会になるよう、ママである私が頑張らなくて、誰が頑張るんだ!』と励まされてきました」と話す。
2度の出産で、神が与える命がどれほどいとおしく、尊いものであるかを知ったという冨岡さんは、「爆弾を落として命を奪うのは一瞬です。しかし、命を生み出すのには長い年月と苦労があります。つわり、陣痛から始まり、世のお母さんたちは自分の命をかけて新しい命を生み出すのです。そんな大切な命、簡単に奪われていいわけないのです」と訴える。
一方、群馬県太田市在住の長島さんも3歳と5歳の子を持つ母親だ。幼い頃から、戦争を経験した祖父母から「戦争をしてはいけない」と聞かされて育った。「経験者が語るのですから、とても重い言葉だと受け止めていました」。安保法案が採決されたときには、「じわじわと戦争のできる国へ近づいていることに恐怖を覚えました」と話す。多くの人がデモに参加し、安保法案に「反対!」と叫ぶ姿を見て涙が出たこともあったという。自分も国会前へという思いもあったが、幼い子どもたちがいるのでそれは難しい。「目の前にいる子どもたちの未来のために、とにかく今、私が動かなければ。私ができることは何だろう」と考え、夜も眠れないほどだったという。
そんな時、冨岡さんから缶バッジのイラストを考えてくれないかとの話があった。「これは私でも何か役に立てるかもしれない」と快諾した。「『いのちまもるん!』は、より多くの人に受け入れてもらえるよう、親しみを持てるものにしました。自然が、命の象徴である卵を守り、抱きしめています」と、長島さんはそのデザインについて説明する。
「武器によって守られている平和とは、本当の平和とはいえないと思います。そして、その武器によって、誰かの命が傷つけられるようなことがあってはなりません」と長島さん。デモに参加して声を上げるようなことができない人でも、この缶バッジを身に付け、静かに強く意思表示をすることができると話す。長島さんの子どもは、幼稚園のカバンにこの缶バッチを付けて毎日通っているという。「この小さな動きが大きく広がることによって、これからの政治を変えていけるかもしれません。まずはできることから始めましょう!」
冨岡さんはこのバッジの使い方として、服やバッグに付けて意思表示をしたり、友人に贈ったり、各種集会でのアピールに使ったりすることを提案している。
色はピンク、青、黄色の3色。サイズは小(57ミリ)、大(76ミリ)の2種類。裏面には安全ピンとクリップが付いており、大切な物にも穴を開けずに付けることができる。価格は1つ100円で、収益はこの活動をより多くの地域に広めるために用いるという。
注文・問い合わせは、冨岡さん(メール:mana_a520*hotmail.com、*を@マークに変える)、または上尾キリスト教会(電話:048・726・2208)まで。