デンバーの教会で、巡回伝道者が説教の後、私に向かって「主は言われる。あなたは新しい人間になった。私は変えられたと自分でも思っている。私はあなたをさらに新しくしよう。あなたが国に帰る時、人々はあなたに言う。あなたは変わりましたと。その時あなたは、いや私は変わっていないと、それを否定してはならない。私の変えていく姿に変わり続けなさい」と預言してくれた。
帰国した翌日、朝日放送のスタジオへ、アメリカで着ていた服装のまま出かけた。ディレクターの志水さんに、「まあ、アメリカ帰りは違いますね。服装のセンスまで良くなって」と言われた。私は翌日から、またどぶネズミスタイルの服装に戻った。ふと預言のことばを思い出し、人間がどんなに人のことばを気にして、神様が変えてくださる姿になるのを恐れているかに気づいた。
息子の成長ぶりを楽しみに帰国し、息子を抱こうとしたら、見慣れない顔に驚き、泣き出してしまった。顔見せ効果が人間関係でもどんなに大切であるかが分かった。二度と人間嫌いだなどと否定的なことを言うまいと決心した。
アメリカは大好きな国の一つだ。それはダイレクトにものを言える国、好きは好き、嫌いは嫌い、自由だからである。のびのびと一ヶ月間を過ごした後、帰路の飛行機がストで乗れなかったり、エンジントラブルで帰りが一日遅れたリもしたが、すべてのことに感謝する時、トラブルは祝福となることを体験した。大きな収穫と祝福のアメリカへの旅だった。
何よりも信じるとおりになる、告白したとおりになることを、強烈に体験した。考えたり告白することとは、信仰によって聖書のことばを思い、告白することである。
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榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。(Amazon:天の虫けら)