日本聖書協会が主催するクリスマス礼拝が6日、東京都千代田区の日本基督教団・富士見町教会(倉橋康夫牧師)で行われた。同協会の渡部信総主事が、「闇の向こうに光が」と題し、世界の希望として来られたイエス・キリストの誕生を祝うクリスマスについてメッセージを伝えた。また、この日は聖書事業功労者への表彰式も行われ、今年選ばれた日本ろう福音協会に感謝状が贈られた。
渡部総主事は、ルカによる福音書1章5〜20節、ヨハネによる福音書1章4、5節を引用。当時、ザカリアが持っていた様々な苦悩が、現代人の持つ苦悩とも重なることを伝え、しかし聖書は、「闇の向こうに光があった」と語っており、苦悩を信仰の喜びとして受け入れた聖人を例に挙げつつ、苦悩の向こうに本当の光、希望、喜びがあることを伝えた。
また、クリスマスは、電気をつければすぐに光るイルミネーション、終れば飾りを片付けて直ぐに正月、というようなものではないとし、「光は暗闇の中で輝いている」(ヨハネ1:4、新共同訳)というように、「暗闇の中にある光」「今までにない新しい光」であることを語った。
メッセージの後には、今年で18回目となる聖書事業功労者表彰式が行われ、功労者に選ばれた日本ろう福音協会の松本英二理事長に感謝状が贈られた。同協会は、全国に約40万人いるとされるろう者のために手話訳聖書を製作しており、93年の設立以来、聖書66巻のうち10巻の手話翻訳を手掛けてきた。松本理事長は表彰式の挨拶で、受賞への感謝を示すと共に、このままのペースだと聖書全巻を翻訳するのに40年かかることを伝え、「これを20年にするためには、多くの手話翻訳者が必要」と、今後の手話翻訳への協力を求めた。
礼拝最後には、日本聖書協会の大宮溥理事長が挨拶し、今年発行20年目を迎え、これまでに約1000万冊が頒布された新共同訳聖書について、決定はしていないが「改訂を考えるべき時ではないか議論を始めている」と、改訂に向けた動きがあることを伝えた。
礼拝には約250人が訪れ、日本聖書協会が発行する『アートバイブル』から引用された絵と、聖句が用いられている「アート聖書カレンダー2008」が、少し早めのクリスマスプレゼントとして参加者全員に贈られた。