米カトリック教会のニューヨーク市大司教広報担当者が4日、小児愛癖を持つ司祭らによる性的虐待から子どもたちを守るための塗り絵を製作したことを明らかにした。塗り絵は、教会の安全環境プログラムの一環として作られたも。今年に入り、市内の数百の学校に配布されたという。AFP通信が5日伝えた。
同通信によれば、塗り絵では、ミサで侍者を務める少年に大人の男性(司祭)と密室で2人だけにならないように注意する天使や、インターネットのチャット上で狙う小児愛者への注意を促す天使などが描かれている。
米カトリック教会では、聖職者による性的虐待が多数発生しており、同問題を巡り、今年7月にはロサンゼルス大司教区がこれまでで最高となる総額6億6000万ドル(約805億円)で、9月にはサンディエゴ・サンバーナーディノ教区がそれに次ぐ総額1億9810万ドル(約224億円)で被害者らと和解している。
「聖職者による性的被害者の救済ネットワーク」のデビット・クロヘシー氏は、今回の塗り絵配布について同通信に対して、「教会上層部が外部からの圧力への対応として実施したような内容にとどまっている」と、同対策が不十分であることを指摘している。
同通信によれば、各カトリック団体などがこれまでに被害者に支払った賠償金は総額で約28億ドル(約3000億円)に上り、資産売却を迫られる教会も出ているという。