米フロリダ州の銃器メーカー「スパイクス・タクティカル」が、「イスラム教徒のテロリストが使用できないように」として、聖書の言葉を刻印したライフルを発売し、批判を受けている。米ニュースサイト「ハフィントンポスト」などが報じた。
問題となっているのは、AR−15型ライフルで、商品名は「Crusader(十字軍戦士)」。片方の側面には、盾の中心に十字架が描かれた「テンプル騎士団」のモチーフが刻印され、反対側には、「主をたたえよ、わたしの岩を / わたしの手に闘うすべてを / 指に戦するすべてを教えてくださる方を」という旧約聖書の詩編144編1節が刻印されている。価格は1395ドル(約16万7千円)。
米海軍の特殊部隊に所属していた経験のある同社の広報担当、ベン・トーマス氏は、「イスラム教徒が触れることのできない銃器を望んでいた」と話す。「イスラム教徒のテロリストが手に持ったら、雷に打たれたような衝撃を受けて死んでしまうような銃器が必要だった」と言う。
イスラム教の市民団体、米国イスラム関係評議会(CAIR)のフロリダ支部は、声明を発表し、「今年、米国では250の大量殺人事件が発生しているが、犯人がイスラム教徒であると自白しているのは、そのうちのわずか1件だけだ」と指摘。「この新しいデザインの銃の発売は、銃による暴力の拡大という、米国にとっての真の脅威を止めることには一切つながらない」とし、「憎悪と分断、暴力をあおることによって利益を得ようとする恥ずべきマーケティング戦略だ」と非難した。
同団体のフロリダ支部は今年の夏、自店を「ムスリム フリーゾーン」(イスラム教徒お断り)だと宣言した同州にある銃器専門店に対し、訴訟を起こしている。同団体も、増加している「ムスリム フリービジネス」(イスラム教徒を排除した商売)に何らかの対処をすることを米司法省に求めている。