【CJC=東京】ロシアのウラジミル・プーチン大統領は、社会に大きな影響力を持つロシア正教会に急接近している。19日には、モスクワ総主教アレクシー二世ら幹部数百人をクレムリン(大統領府)に招いて会談、12月2日投票のロシア下院選を前に、与党の勝利に向けた後押しを教会幹部に要請したが、一方で公立学校での宗教教育の解禁に踏み込む姿勢を見せている。
大統領は会談で、「ロシアの安定した発展や肯定的な変化が続くかどうかは、投票結果にかかっている」と述べ、事実上、与党「統一ロシア」への支持を呼びかけた。
正教会側は、公立校での宗教教育の実施を要望、大統領は「宗教についての知識教育の実現を求める声が上がっている」と発言。「生徒の自発性」を尊重することを前提に、解禁に前向きな姿勢を示した。
ロシア正教会の会堂などが多数、スターリン時代に破壊されているが、メドベージェフ第一副首相は同日、正教会側に「政府は教会施設の復興を支援する」として、今年は15億ルーブル(約75億円)、来年から3年間は60億ルーブル(約300億円)を投入すると述べた。
下院選挙は来年3月の大統領選挙の先駆けともされており、大統領の正教会への急接近が目立って来ている。