日本基督教団は17日、「戦後70年にあたって平和を求める祈り」を公式サイトで発表した。同教団の第39総会期第3回常議員会で14日に可決されたもので、16日に衆議院本会議で可決された安保法案や、米軍基地問題などがある沖縄にも言及した。
「私たちは今、世界の主なる神に祈ります」と始まるこの祈りには、「戦後70年にあたって、アジア・太平洋戦争時、日本の戦争遂行に協力し、多くのアジア諸国の民に多大な苦しみを与えたことを悔い改め、二度と同じ過ちを犯すことがないために、真に平和を造り出すことができる知恵と力を与えてくださるように、今この時、神の憐(あわれ)みと導きを祈り願います」などと記されている。
また、安保法案について、「今、日本は、多くの憲法学者が憲法違反と指摘しており、多くの国民が懸念しているにもかかわらず、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、そのための安全保障法案を国会で議決しようとしています」と言及。その上で、「私たちはそのことを憂い、『剣を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して鎌とする』(イザヤ書2章4節)平和の実現を願い、為政者が謙遜になり、国民の思いに心を寄せ、秩序をもって政治を司(つかさど)ることができるよう切に祈ります」と述べている。
さらに、沖縄についても言及し、「国政に責任を負う者の中に、多くの重荷を負わせられている沖縄の人々のうめきや痛みをかえりみず、言論を封じようとする発言があることに心が痛むと共に、為政者のおごりを感じます」と表明。「異なる意見に耳をかさず、懲らしめなければならないとうそぶいている権力の担い手たちが、異なる意見を真摯(しんし)に聞く心を与えられるよう祈ります。為政者が、権力を担うことは民意の委託であることを覚え、民に聴き、民の痛みを知り、民を尊び、民に仕える心が与えられるよう祈ります」と記されている。
そして、「私たちは、私たち自身が経済性を優先させる罪に陥り、自分だけが良ければ良いとする思いをもって政治や人権に対して無理解・無関心となっていたことを悔い改めます。私たちに他者の痛みや嘆きを自らのものとして受けとめる心を与えてください」という祈りを表している。
なお、同教団は1967年に、当時の鈴木正久総会議長名で、「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」を発表している。