91年に約14万人の死者を出したものと同規模とみられるサイクロン「シドル(目)」が15日、バングラデシュ南部の沿岸部を直撃した。地元メディアは18日、「死者が全国で約3000人に達した」と報じたが、同国赤新月社は同日、死者が1万人に達する恐れがあると発表。国際キリスト教NGOのワールドビジョンなど救援団体が被災地に向かったが、悪天候や道路が寸断されているために現場に近づけず、作業は難航している。
AP通信が政府の集計として伝えたところでは、今回のサイクロンで77万戸以上の家屋が被害を受け、被災者は270万人以上に達した。被災地では、通信手段が使用できない上に、交通網が寸断された地域もあり、被害状況の把握も困難な状況だという。
国連は約700万ドル、米国は約210万ドルの支援を発表。日本赤十字社も約2000万円を支援、被災地の国際赤十字チームに職員1人を派遣した。
サイクロンは15日夜、強風域が国土全体を飲み込むようにバングラデシュを直撃。秒速60メートル以上の暴風や5メートル以上の高波が住民を襲った。特に被害の大きかった南西部の三角州や沿岸地域では、食糧どころか避難場所も不足しており、さらなる支援が求められている。