オーストラリア・シドニーで5日間にわたって開催されたヒルソング・カンファレンスで、米マーズヒル教会の元牧師マーク・ドリスコル氏の動画インタビューが流された。ヒルソング教会は当初、カンファレンスにドリスコル氏を招くことを発表していたが、厳しい批判の後、ドリスコル氏の出席を取りやめると発表していた。
ドリスコル氏と妻のグレースさんが出演したこの30分間の動画では、ヒルソング教会のブライアン・ヒューストン主任牧師がインタビューを行い、カンファレンスの参加者約2万人がこの動画を見た。
ドリスコル氏はこの動画で、恵み、愛、家族、リーダーシップ、子育て、牧会的ミニストリー、成長する方法を学ぶこと、について語った。また、自身に対する批判のいくつかを受け入れることと、実際に彼が周りの人から受けた愛や優しさについても述べた。
「聖書は、究極的に言えばイエスの個人的な愛を語っており、そして救いという話になると、これは神ご自身のなせる業であり、私たちはそれに応答することはできますが、私たちが(救いのために)何かをしたというわけではないのです 」とドリスコル氏は語った。
ドリスコル氏は、マーズヒル教会を辞任後、マーズヒル教会という垣根を超えて、彼の元に来てくれた人たちのことについて話した。一方、次に何をするかという彼自身の具体的な計画は明らかにしなかった。
先月初めに出された声明では、ヒューストン牧師は、ドリスコル氏がシドニーで開かれるヒルソング・カンファレンス(6月29日〜7月3日)にも、英ロンドンのO2アリーナで開かれるヒルソング・カンファレンス(7月22日〜24日)にも出席しないと述べていた。これは、ドリスコル氏が出席するという事前告知に対して、出席させないようにと訴える強い批判があったためだ。
ドリスコル氏をカンファレンスに出席させないよう求める署名運動が、性についての法律の専門家であるナタリー・コリンズ氏によって始められ、その呼び掛け文には、ドリスコル氏の出席が「失望を呼び、また英国内でも国際的にも大きな懸念をもたらす可能性があります」と書かれてある。
ドリスコル氏の出席取りやめを発表した際、ヒューストン牧師は「今後の数週間で、今持ち上がっているいくつかの問題について、マークと私が個人的に話し合えることを願っています。例えば、彼が学んだことを知り、そして彼が個人的にも、また(牧会の)専門家としても、どう前進しているのかを、私がよりよく理解できるために、話し合いを持ちたいのです」と述べていた。
ヒューストン牧師はまた、「キリストの教えは愛と赦しに根ざしており、既にマークが繰り返し謝罪している何年も前の発言や、この署名に加わったわずかな少数派、また人々が彼につい言う事柄を理由に、マークを白い目で見ることはありません」と述べていた。
コリンズ氏は、カンファレンスで動画インタビューを流したヒルソング教会の決定に、遺憾の意を示した。 「多くの人たちは、ブライアン・ヒューストン氏のやり方を深く悲しみました。まず、PRの声明です。そしてそれにもかかわらず、インタビューは決行されており、事前に録画がなされていました。その発表が、私たちが信用すべきブライアン・ヒューストン氏の言葉の真意ではなく、文字に過ぎなかったことが残念です」
コリンズ氏は、7月末にロンドンで予定されているヒルソング・カンファレンスに対する抗議を計画しているという。
ドリスコル氏は昨年、米ワシントン州シアトルにあったメガチャーチ、マーズヒル教会の主任牧師の職を、「傲慢であること、批判について短気で乱暴な言葉で応答したこと、スタッフや長老たちを傲慢な態度で指導したこと」を理由に解任された。ドリスコル氏にまつわる議論は長く続いており、昨年は、剽窃(ひょうせつ)疑惑や、ある企業に金銭を支払い自身の著書を架空に注文させた疑いなどがある。
米国でも非常に大きな教会の一つとして成長し、複数の地域に広がっていたマーズヒル教会は昨年末に閉鎖し、今年からは各地域が独立した教会として礼拝を守っている。ヒルソング教会からのカンファレンス出席の誘いは、ドリスコル氏がマーズヒル教会を辞任する前であったという。