6月26日の十和田市議会で廃館を求める条例が賛成多数で可決され、30日をもって閉館することが決定した同市立新渡戸記念館について、新渡戸家7代目当主で元館長の明氏(73)と、明氏の息子で館長の常憲氏(48)が30日、弁護士と共に、廃館の理由とされる耐震強度調査に疑問があるなどとして、廃館取り消しを求める訴状を青森地裁に提出した。
地元紙などの報道によると、 新渡戸家側は「記念館の建物は本当に急いで取り壊さなければいけないほど危険なものなのかどうか」について疑義があり、争うとしているという。また提訴後の記者会見で明氏は、記念館の資料は盛岡藩士だった新渡戸稲造の祖父、傳(つとう)が開拓した郷土の歴史を示すものであり、 「160年も前の開拓者たちの血と涙と汗の結晶です。一つ一つが一点ものです。これを残したいんです」と語った。一方、同市の小山田久市長は「提訴に至ったのであれば、大変残念に思う」とのコメントを発表した。