日本エキュメニカル協会(徳善義和理事長)が主催する公開研究会が12日、東京都千代田区の岐部ホールで開催された。同協会は毎年2回、春と秋に公開の研究会を開催している。今回は「信教の自由と政教分離 エキュメニカルな視点から」というテーマの下、カトリック側の発題者としてさいたま教区の谷大二司教、プロテスタント側の発題者として国際基督教大学の森本あんり教授を招いて行った。
谷氏は、政教分離の英訳が「Separation of Church and State」であることに触れ、日本の場合は「Separation of Shrine(Shinto) and State」となると指摘。日本において政教分離を考えるとき、単純に抽象的な国家と宗教との分離ではなく、より具体的に国家と「神社神道」との間の係わり合いを否定するものであることを知る必要があると伝えた。
一方、森本氏は、信教の自由の他、「思想及び良心の自由」「集会、結社、及び言論、出版その他一切の表現の自由」など、現憲法で認められている様々な「自由」が元々は、英国から米国へ渡ったピューリタンらから生まれてきた経緯を語った。その上で、政教分離が「信教の自由」を実現するための手段であることを伝えた。また、米国で政教分離の基準とされる「レモンテスト」について触れ、1977年の津地鎮祭訴訟以降用いられている「目的効果基準」がレモンテストを元にしていながらも、その内容が不十分になっていることを指摘した。
両氏とも自民党新憲法草案で政教分離に関わってくる第20章について言及し、谷氏は草案の背景に国家神道の復活があるのではないかと指摘、森本氏は草案がレモンテストの条件を満たしていないことを挙げ、各面で問題点を指摘した。