【ロンドン=ENI・CJC】1953年に英国で自殺志向者や絶望している人の電話相談ボランティア組織「サマリタン」を創設したチャド・バラー牧師(英国国教会)が11月8日、死去した。95歳。1911年11月12日にリンカンシャーのバートン・アプオン・ハンバー生まれ。オクスフォード大学とリンカーン神学校で学び、1936年聖職につき、2003年に92歳で引退した時には最高齢の現職牧師だった。
人生の瀬戸際にいる相談者に、主に電話で秘密裏に支援する小さなグループが、相談サービスをロンドンの教会の地下室で始めたのが1953年のこと。「サマリタン」は現在、英国とアイルランドに202支所を設置、1万5000人以上のボランティアが24時間態勢で待機している。また世界規模では「ビフレンダーズ・ワールドワイド」が40国に401センターを展開している。
カンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏は「バラー牧師は、自殺に対する態度を変え、鬱病に陥っている人など、援けを必要とする人たちに、決めつけを排除して接することで、私たち全体社会の生命に独自の貢献をした」と語った。
「サマリタン」の後援者、チャールズ皇太子は「1953年以来無数の人の命を救う組織を設立した、真に傑出した人」と牧師を追悼した。