私は中学三年の時、大阪で大工として働いていた兄を訪ねたことがある。当時は兄もまだクリスチャンではなく、無理にビールを飲まされそうになったこともあった。兄が現場で仕事をしている間、退屈だろうから映画でも見るようにと言われて、大阪の繁華街を一人歩いたこともある、三十五年後、その大阪のど真ん中に、ラジオ放送聴取者の集いとして、大阪エリムチャペルができた。
私が大阪に来た直後、兄は酒に酔ったまま大阪救霊会館に導かれ、イエス・キリストを信じて一八〇度生まれ変わった。毎晩の飲み屋通いが、教会通いになり、酒に酔っていた男が、聖霊に満たされる人生へと変化し、現在は自分が救われた大阪救霊会館で、一年三六五日、毎晩集会を開き、十字架の救いを伝え、自暴自棄になった人々を、だれも閉じることのできない開かれた救いの門に招き続けている。
大阪救霊会館では、パンと給食を用意し、毎晩三〇〇人以上に提供している。また北朝鮮の飢餓状態を憂え、自分が幼い日満州で育ったこともあり、国境沿いに米を届ける支援の働きもしている。
だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、すべてが新しくなりました。(Iコリント5:17)
神は、罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それは、私たちが、この方にあって、神の義となるためです。(Iコリント5:21)
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榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。(Amazon:天の虫けら)