【CJC=東京】イスラエルのシンクタンク『エルサレム研究所』(JIIS)はかつてエルサレム分割案を作成、失敗に終わった2000年7月のキャンプ・デービッド・サミットでは交渉のための基礎として使われたが、今ではエルサレム分割に重大な疑念を抱いている。『国際キリスト教大使館』(ICEJ)が明らかにしたもの。エルサレム問題に関する新しい報告書では、これまでの分割案支持を、安全、社会・経済的理由、特にガザ地区から撤退した際に、仕事などを失った避難者に補償したのと同様の措置を東エルサレムのアラブ系市民に行うことも必要になると見られ、反対に転じたという。
「エルサレムは統一都市としての期間が分割時の2倍の40年に達している」とJIISのオラ・アヒメイア所長は『ハアレッツ』紙に語った。
「ハト派」のJIISが、エルサレム分割でイスラエルへの批判が強まると指摘するのは、東エルサレムの現在の住民が永住権を失うことで「社会保障などが取り消され」、それがイスラエルによるパレスチナ人の生活権の侵害という主張を強く裏付けることになるからだ。
またエルサレム分割というイスラエルの一方的な決定が、人種を基礎にすることでもあり、国際社会が人権と人間の平等原則に対する侵害と解釈すると指摘している。
「研究所が用意した報告書草案はまた、旧市街やテンプルマウントに関する協定なしに東エルサレムからイスラエルが撤退した場合、パレスチナ側の暴力行為を加速しかねない、と警告している」と『大使館』は明らかにした。
エフード・オルメルト首相はこのほど国会で撤退を提案したが、「最近の世論調査は、ユダヤ系市民の大多数がエルサレム分割に反対しているだけでなく、アラブ系住民の多くも抵抗する可能性を示している」と言う。