米南部テキサス州ダラス近郊で開かれていたイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画コンテストの会場近くで、3日夕方(日本時間4日朝)に発砲事件があり、容疑者の男2人が警察に射殺された。コンテストはニューヨークに拠点を置く反イスラム団体の会長が主催したもので、優勝者には1万ドル(約1200万円)の賞金も用意されていた。
ロイター通信よると、事件は3日午後7時前、ダラス北東に位置するガーランド市の屋内施設の駐車場で発生。車で乗りつけた男2人が警備員に発砲してきたが、警察が2人を射殺した。警備員1人が負傷したが、命に別条はないという。
コンテストのスピーカーには、反イスラムで知られるオランダの極右政治家で、イスラム過激派の暗殺者リストにも挙げられているヘルト・ウィルダース氏もいたという。しかし、今回の事件とコンテストが直接関係しているかどうかは、これまでのところ不明。
「ムハンマド絵画展・コンテスト」と題されたこのイベントは、米国自由防衛構想(AFDI)のパメラ・ゲラー会長(56)が主催。優勝賞金1万ドルのほかに、2500ドル(約30万円)の参加者選出賞もあったという。
事件発生時、施設内で行われていたコンテストは間も無く終るところで、参加者は施設内にいたため、事件があったことは、事件後警察から施設内に残るよう指示されるまで分からなかったという。
反イスラムの立場で知られるゲラー会長は、米フォックス・ニュースに対して、ガーランド市の会場を選んだ理由として、米国のイスラム教指導者らが、1月に発生した仏風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の襲撃事件後、イスラム憎悪に反対する集会を同会場で開いていたからだと説明していた。
AFDIはこれまでにも、米国内の公共交通機関に反イスラムを掲げる広告を出し、問題になったことがあるという。反人種差別の活動を行う米国の非営利団体、南部貧困法律センター(SPLC)は、AFDIをヘイト団体だとしている。