アフリカと聞いて思い描くイメージはなんだろう。雄大な大地と、限りなく広がる透明な空、生命力みなぎる野生動物といったような迫力の大自然を思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし、それだけがアフリカの姿ではない。
戦争、貧困、そして、エイズ。生活を取り巻く様々な社会問題によって、弱者である子どもたちが苦しめられている。
特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン(以下、WVJ)は11月28日から12月1日の4日間、アフリカ生活体験イベント「教科書にのっていないアフリカ」をWVJ事務所建物内で開催する。「貧しさのなか生きる世界の子どもたちの現実を、1人でも多くの方に、より深く知ってほしい」という願いから開発されたこのイベントでは、参加者が臨場感あふれるサウンドやビジュアルで現地の子どもたちの生活を体験できる。
06年にアメリカのニューヨークで開催したのを皮切りに、カナダ、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど、世界5ヵ国で5万人以上を動員。日本での開催はこれが初めてとなる。今回は以下の4人の子どもたちの生活を体験する。
【ベアトリス (ザンビア・7歳) 】
両親をエイズで亡くしたベアトリス。たった1人の姉も、赤ちゃんを産んで亡くなってしまうが、親類は誰も赤ちゃんを引き取ろうとしない。見かねたベアトリスは、自分の人生を変える一言を口にする。懸命に赤ちゃんを守るベアトリスの、2年間のストーリー。
【スティーブン (ウガンダ・13歳) 】
スティーブンが夜中に目を覚ますと、武装した男たちが、家の中に押し入ってきた。誘拐された彼は、銃を渡され、敵を殺すよう命令される。少年兵になってしまったスティーブン。この状況から逃れることが、できるのだろうか。スティーブンが体験した、生きのびるための戦いの記録。
【オリビア (マラウイ・17歳)】
学校や教会に、熱心に通っているオリビア。しかしある日、1人の男性に襲われ、妊娠してしまう。「あの時、ドアを開けなければ良かった̶・・」激しく後悔するオリビア。だが、恐怖と悲しみは、これだけでは終わらなかった。どんな状況でも思いやりを忘れないオリビアの、再生の軌跡。
【エマニュエル (ウガンダ・3歳)】
母親を亡くし、エマニュエルは8歳の兄フレッドと、叔母を頼って家を出たが、追い返された上、持ち物をほとんど取り上げられてしまう。しかし兄弟2人きりの生活には、さらに厳しい運命が待ち受けていた。助け合い苦難を乗り越えていく兄弟の、感動のストーリー。
海外では来場者から、「アフリカの子どもたちの痛みを知り、目を開かされた」「今まで何も知らなかったことに気づいた」などと多くの感想が寄せられた。
WVJ事務局長の片山信彦氏は、「この体験型のイベントで一人の子どもの目線で、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりしてみてください。きっと何か新しい変化がみなさんの心の中に起こることでしょう。皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げています。ぜひ体験してみてください」と語っている。
WVJでは11月1日からクリスマス(12月26日)まで、貧困に苦しむ世界の子ども5000人のチャイルド・スポンサーを募集するキャンペーンを行っている。チャイルド・スポンサーとは、貧しい地域で暮らす子ども一人につき4500円の支援を毎月送り、子どもたちを取り巻く環境を改善していく長期の支援活動。現在3万人以上が登録している。
WVJは、貧困、飢餓、災害、戦禍などで苦しんだり抑圧されている人々が、明日を夢見て希望で胸をふくらませることができる社会の実現を目指し、1987年10月に国際NGO「ワールド・ビジョン」の一員として設立。キリスト教精神に基づいた国際NGOとして、開発援助、緊急援助、アドボカシー活動を行っている。
現在、3万人以上のチャイルド・スポンサーの支援や600人以上のボランティア、募金者、企業・団体からの支援、また国際機関や他NGOとの連携によって活動している。
問い合わせはWVJ事務所(電話:0120・465・009、メール:[email protected])まで。電話の受付時間は平日午前9時から午後7時。