25日にネパールを襲った巨大地震の被災者は800万人に上るといわれ、救助活動が困難を極める中、キリスト教の諸団体もさまざまな支援活動を行っている。
地震は現地時間25日正午前に発生。揺れはネパール全域とインド北部、バングラデシュなどの広い範囲に及んだ。余震もマグニチュード(M)6以上のものが2回発生。エベレストでは大規模な雪崩が起き、標高5000メートル付近にあったベースキャンプが被災した。27日までに22人が死亡、200人を超える行方不明者が出て捜索が続いており、エベレスト史上最悪の惨事と報道されている。
ネパール都市部では、建物が崩壊して道路をふさぎ、車の通行も容易ではなく、手作業で救出活動が行われているところも多い。郊外では交通や通信網が途切れた場所も多数ある。また国際空港が1つしかないという空港の未整備や、天候の悪化などで救助活動は難航している。
そんな中、ローマ教皇庁開発援助促進評議会は28日、教皇の名義で10万ドル(約1200万円)を最初の救援金として送り、ネパールの教会を通して被災者の支援に充てることを発表した。
また、キリスト教国際NGOのワールド・ビジョンは地震発生直後に支援を決定。27日には、最も被害を受けた地域の一つであるバクタプル郡で、仮設テント100張と毛布600枚を配布。当初予定していた支援規模をさらに拡大し、10万人(2万世帯)を対象に、仮設テントや簡易マットレス、毛布などを配り、子どもたちの心理的負担を減らすために自由に遊べるスペースを設置するなどしている。
さらに、同じくキリスト教国際NGOのグッドネーバーズは、被害の大きいゴルカ郡に対策本部を設置。28日には同郡フィナム自治区の全200世帯を対象に非常食や毛布などを配布した。現在2回目の配布についても準備を進めている。
震源に近く、最も大きな被害を受けたとされるゴルカ郡の村の大部分は、交通や通信網が途切れた影響で孤立した状態にあり、救援物資を届けるまでにどれほどの日数がかかるか分からない状況。住宅の7割が損壊した村もあり、まだ救助されていない子どもや高齢者が数多くいる。このため、グッドネーバーズ・ジャパンは30日に小泉智(さとし)事務局長を現地に派遣。現状を把握した後、今後の支援の拡充を検討する予定だ。
首都カトマンズにある空港には滑走路が1本しかなく、救援物資や海外からの専門家を乗せた航空機の殺到に対応が追いつかず混乱が生じていた。そのためネパール政府は、既に十分な人数がいるとして、外国からの捜索・救助隊の受け入れを終了した。
一方、被災地では、余震を恐れて多くの人が屋外でテント生活を続けており、食糧不足が深刻化する恐れがある。国連人道問題調整事務所(OCHA)ネパール事務所によると、ネパールで約140万人が食糧支援を必要としている。