国連人道問題調整事務所(OCHA)は10日、大型サイクロン「パム」で南太平洋のバヌアツが被災してから約1カ月たった現在もなお、何千人もの人々が水や食糧、避難所を必要としていると報告した。一方、キリスト教団体を含む国際社会の支援活動が今も続けられている。
OCHAの報告によると、バヌアツ政府主導の災害対応は、食糧や安全な飲料水、そして避難所といった基本的な人道救援活動を続けるために、資金が緊急に必要となっているという。
「サイクロンによって90パーセント以上の作物が被害を受け、農業に大きく依存している国民の収入のめどが立たないまま、食糧安全保障の欠如が長期化する可能性がある」と、OCHAは報告している。
また、「約11万人が安全な飲料水を確保できず、一部の地域では下水設備が全て破壊された。最も被害がひどかったタフェア州とシェファ州では、約6千人が間に合わせのものでしのぎ、あるいは仮設避難所で生活している」という。
このサイクロンの被災者支援については、日本キリスト教協議会(NCC)や日本国際飢餓対策機構、日本聖公会管区事務所などのキリスト教団体や教会、また日本赤十字社、日本ユニセフ協会などが募金を呼び掛けている。
なお、NCCに支援の要請を呼び掛けたキリスト教国際救援組織「ACTアライアンス」は、バヌアツのサイクロン被災を、災害の危険性減少の問題だけではなく、気候変動の問題としても位置付けている。
これについて、NCC加盟教会の一つである日本福音ルーテル教会は3月18日、ブログで「サイクロンの原因となったのは気候変動と考えられており、私たちの生活と密接な関わりがあると思われます」「災害に遭われた方々のために祈り、同時に気候変動の観点から、私たちがその生活を省みることを通して、困難の中にある方々と連帯する者でありたいと願います」と記している。