新宿の一角にあるダンス教室。その名も「ONE GOSPEL DANCE SCHOOL」。日本で初の総合ゴスペルダンススクールだ。
そもそも、ゴスペル(Gospel)という言葉自体は古い英語で、“Good Spell”(=Good News=よい知らせ)が語源であり、日本語では「福音」と訳される。この福音を伝えるべく、2013年に活動をスタート。現在では、プレイズダンス、ゴスペルフラ、手話を用いたサインダンス、ヒップホップダンス、ジャズダンスなど、さまざまな種類のダンスのレッスンを毎週土曜日に行っている。
代表のMIZUEさんは、両親の期待どおりに生きるいわゆる“いい子”として育った。しかし高校生の頃にヒップホップダンスと出会い、言葉で表しきれない感情を表現できるダンスが好きになった。大学時代には、家族からの反対を押し切ってプロのダンサーを目指し、ジャズダンスやロックダンスを踊っていた。しかし、オーディションの落選や、自分よりも上手いダンサーが世の中にたくさんいることに気が付き、「私なんかが踊らなくても別に代わりはいくらでもいる」と、唯一生きる意味だったダンスにさえ自信を失い、踊りたくないとまで思うようになってしまったという。
そんな時、ダンスに代わる表現方法として、映画で見た「ゴスペル」を歌いたいと突然思い立ち、ゴスペルクワイアに参加した。だが、そんな時に姉を自殺で亡くした。「姉と私はよく似ていて、同じような心の状態で育ったので、もし姉が地獄へ行くなら、私も地獄でいい。神様、本当にいるんならお姉ちゃんを天国へ連れて行ってと祈りました」と当時を振り返る。
「しばらくしてから姉の幻を見ました。彼女は少し髪が伸びていて、元気そうに『天国で楽しくやってる』と伝えてくれました。それから神様は本当に良い方なんだと確信できました」という。
その後、ゴスペルダンスと出会い、これをさまざまな悩みを持っている人たちに届けたいと、教会のダンスチームに入って、消えかけていたダンスへの情熱を再燃させる。そして、2007年にダンススクール設立のビジョンを与えられた。
「クリスチャンになる前は、キメ顔を作って踊っていたのですが、それでも『笑顔が足りない!』と言われたこともあるのに、『何であんな笑顔で踊れるんだろう?』って思いました」と、クリスチャンたちが踊るダンスを見たときの印象を話す。教会のダンスチームに加わろうとしたとき、「何のために踊っているの?」と聞かれた。ただ楽しいから踊っていた当時の彼女は、踊る理由を尋ねられ衝撃を受けた。
「いろいろな人の話を聞いて、サタンは一番のギフトを奪おうと色々するんだなぁと思います。本当は得意で情熱がある分野なのに嫌いになるように仕向ける。私は良い成績を収めなければ価値がないと思っていました。でも全ての人に価値があると聖書は言っているし、その価値に生きる姿が一番美しい。このスクールは自分の価値について悩んでる人に、その価値を教える場所にしたい。ダンスは居場所をつくる一つのツールであって、その価値観を伝える場にしたいのです」
クリスチャンの表現方法として、ダンスはまだそれほど馴染みがあるわけではない。そして多くの人に受け入れられたり、経済的な成功などの目に見える部分を悪いものだと考えてしまう風潮を感じると、MIZUEさんは言う。しかし、「神の言葉=Gospel」を伝えるために、日本中どこにでも行く「出張ワークショップ」や、米国のサドルバック教会と共に被災地でのコンサートを行うなど、精力的に活動している。
「神様を知らない人を引きつけるには高い技術も必要だけれど、全ての良いものは神様から来てるし、どんなに上等なものを用意しても神様にはかなわない。でも子どもが一生懸命つくった物を渡されて喜ぶ親と同じように、どんな人のどんなダンスであっても神様は喜んでくれる。神様を知らない人々をさらに引き付けるとともに、たくさんの問題を抱えた子たちが、神様に呼ばれ、変えられて、立派なリーダーになっていくよう、ベストを尽くすようにしています」と話してくれた。
「ONE GOSPEL DANCE SCHOOL」のレッスンの詳細や活動内容は、ホームページで。