13年前に教会を開拓して以来、高内氏には一つのビジョンがあった。いつかこの場所でカフェをオープンさせたい、そしてその場所を、礼拝ができる教会にしたいというものだ。
発病をきっかけに、高内氏は長年の夢に取り掛かった。整骨院院長としての長年のキャリアを捨てることに未練はなかったものの、なじみの患者がいた整骨院を閉院することに対しては、心が痛んだという。
だが、高内氏は決断した。手記には当時の心境がこう書かれている。「死を意識したときに、このまま人生が終わっていいのだろうか?どうせ死ぬのなら、そして神がくださった人生でありビジョンなら、今それをやらなければいつやるんだ?」
渋る妻を説得。家族の了解を得て、カフェをオープンさせた。2年前の5月のことだった。
現在、カフェは午前9時から午後6時までオープン。定休日は、日曜と水曜、そして祝日。毎週土曜午後4時からは貸切にして、藤原義宣(よしひろ)牧師と信子(しんじゃ)牧師によって、「Jesus Mission」の Heavenly 礼拝が行われている。高内氏のビジョンがそのまま、形になっている。
『病気というと、痛い、苦しい、辛い、悲しいとマイナス感情のオンパレードだが、そのような中でしか得られない恵みがあり、病気にならなければ気付かなかった祝福や恵みがたくさんあることが分かりました』(手記より)
「リアルにみことばを体験する機会が増えた」。高内氏は、実感を込めて話してくれた。
「栄えに満ちた喜びというのは、こういうことをいうのかなぁっていうことが、分かったんですよね。感情的には悲しい、でも霊は喜んでいる。まぁ、踊っているところまではなかなかいきませんが。でも霊が喜んでいるっていうのは感じるんですね」
高内氏の一日の力の源は、夫婦そろって祈る朝のデボーションだ。
「昔はなかなか時間を合わせられなくて、上手く行かなかったのですが、最近は、お互い無理しなくても、自然と毎日、デボーションできるようになりました」と高内氏は笑う。
嘉恵さんがいなければ、物理的にも、精神的にも、霊的にも、一人では生きていけない。そう語る高内氏の手記には、嘉恵さんへの思いがにじむ。「妻は同士であり同労者です。互いに重荷を負い合う関係であることが、結婚して20年経ってようやく理解できました」「妻には本当に私の苦しみや重荷を分かち合ってくれて感謝の思いでいっぱいです」
高内氏の今のビジョンは、大学1年生の娘、中学3年生の息子が、神に仕えていく姿を見ることだ。
『子供達は今の私にとっては生きる理由の一つであり宝です。それは子供達との関係を通して愛することの価値を知り、愛されることの喜びを知ることができるからです。神と自分の関係のように』(手記より)
「今、神様に伝えるとしたら、どんな言葉を?」 高内氏に尋ねると、「ただ、ありがとうございます、と」。照れたように笑われた笑顔がとても印象的だった。
■ ヘブンリーカフェオーナー・高内寿晴氏インタビュー:(1)(2)