国際的な神学の教科書など数多くの著書を著し、世界的に著名な英国の神学者であるアリスター・E・マクグラス氏による英語のキリスト教入門書『Christianity: An Introduction』の第3版が今月、英国の国際的な出版社である Wiley-Blackwell から出版された。
同社によると、第3版は2006年発行の第2版を全面改訂し、内容を更新した新版で、同社は「世界で最も指導的な神学者の一人によるこの有名な教科書は、生き生きとした、専門語のないキリスト教入門」だと説明している。
その主な内容について同社は、「グローバルなキリスト教に関する豊富な新しい資料、米国のキリスト教、正教会、最近の神学論争、そして他の世界宗教との関係におけるキリスト教を特色とし」、「数多くの図版や、さらに読むための提言、キリスト教用語集、主要なキリスト教の出典からの簡潔な読み物など、学生が使いやすい特色を増大・拡充」したと説明している。
さらにこの第3版は、「キリスト教の信仰や実践の予備知識を前提としない、分かりやすく魅力のあるスタイルで書かれており、この科目の初心者だけでなく新たに復習したい人たちにとって非常に貴重な教材となっている」とともに、「カトリシズム、正教、プロテスタンティズム、福音主義、ペンテコスタリズムを網羅した内容」だという。
同社のウェブサイトでの発売は今年12月となっており、価格は39.95米ドル。一方、アマゾン・ジャパンでの発売は来年2月2日と記されており、現在予約を受付中。ペーパーバック版の価格は5000円前後(12月17日現在)。
同書の初版は1997年に出版され、第2版は本多峰子訳『総説キリスト教ーはじめての人のためのキリスト教ガイド』として、2008年にキリスト新聞社から日本語で出版された。この本は同年に日本図書館協会の選定図書に選ばれている。
同社は第2版の内容について、「『ナザレのイエス』『聖書入門』『旧約聖書』『新約聖書』『キリスト教の信仰内容の背景』『キリスト教信仰の核ー概要』『キリスト教の歴史ー略史』『キリスト教ーグローバルな視点で』『信仰生活ー生きたリアリティーとしてのキリスト教との出会い』など全9章から成り、この一冊でキリスト教が概観できる」と説明している。
マクグラス氏は1953年北アイルランド出身。分子生物物理学と神学の博士号を併せ持ち、英国国教会で聖職按手礼を受けた後、オックスフォード大学、ロンドン大学の各教授を経て、2014年4月より再びオックスフォード大学で科学と宗教の教授を務めている。また、2003年と2008年に来日し、講演を行った。
日本語訳されたマクグラス氏の著書には他に、『キリスト教神学入門』(教文館、2002年)、『十字架の謎 キリスト教の核心』(同、2003年)、『神学のよろこび はじめての人のための「キリスト教神学」ガイド』(キリスト新聞社、2005年)、『神の科学 科学的神学入門』(教文館、2005年)、『キリスト教神学資料集(上)(下)』(キリスト新聞社、2007年)『キリスト教思想史入門 歴史神学概説』(同、2008年)など多数がある。