私は、人生で一度だけ詐欺に遭ったことがあります。
教会を新しく開設したころ、「駅前に掲載する地図に教会の名前を入れませんか?」と、セールスマン風の男性が名刺を持って訪問しました。私は、「教会の宣伝になるなら」と思って、お金を払って地図に教会の名前を載せてもらうことにしました。男性は慌ただしく、「すぐに現金を渡して、契約をしてください。実は、地図の制作がすぐに始まるので、今日の午前中が締切なんです」と言うのです。そこで、「おかしい!?」と思えば良かったのですが、まんまと現金をかすめ取られてしまいました。
その失敗は、私にとって良い経験でした。
1. 詐欺セールスマンが近くをうろついていたとしたら、現金を取り返そうと思って、近所のお店などを回りました。おかげで、地域の方々と親しくなれました。
2. 経済的に余裕のない中で、現金をだまし取られてしまって、強い痛みを感じました。この経験は、「慌てて決断しないようにしよう」と、良い教訓を与えてくれました。
3. 私は、「絶対に人から騙されない!」と自負していましたが、だまされた経験を通して謙遜にされ、「神様、私を守ってください」といつも祈るようになりました。
聖書は、「後ろのものを忘れなさい」(ピリピ人への手紙3:13)と語ります。だまされたことをケロッと忘れてしまえというのではありません。忘れるのは、だました人をゆるし、その心の痛みを忘れ、その過去の経験に因われないということです。だまされたことを忘れてしまったとしたら、何度も同じ失敗を繰り返してしまいます。失敗は、人生大学の授業であり、失敗によって支払わされた代価は、人生大学の授業料と考え、そこから何かを学ぶ必要があります。
聖書は、もう一方において、「主の良くしてくださったことを何一つ忘れるな」(詩篇103:2)と教えます。みなさんも、きっといろいろな失敗や、消してしまいたいような汚点があるのではないかと思います。しかし、そのことを通して謙遜にさせられ、ピンチがチャンスに、マイナスがプラスに変わった祝福を忘れないで、感謝したいものです。それが、主が良くして下さったことです。プラスのことは、プラスなので神様に感謝しましょう。しかし、マイナスのことも、プラスに変えられるので感謝しましょう。聖書が「すべてのことについて感謝しなさい」と教えるのはその意味です。
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ローマ人への手紙8:28)
感謝に満ちた一日でありますように。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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